2020水年の記録的な少雪による流出量への影響を検討することを目的とし、長坂試験地の流出特性を解析し、平年に近い気候であった2021水年との比較を行なった。本研究における1水年は、前年11月1日を期首とした。試験地近傍のAMeDAS(鷹巣)では、2020水年の降雪の合計は181cm(平年値514cm)と1980年以降最低値を記録し、月平均気温は1月0.6℃(平年値-1.5℃)、2月0.8℃(-0.9℃)、3月4.6℃(2.3℃)と平年値より1.7~2.3℃高かった。2021水年の降雪の合計は378cm、月平均気温は1月-2.3℃、2月-0.6℃、3月4.9℃であった。試験地での年流出率は2020水年では62%(年流出量1256mm)、月別流出率は1月78%、2月79%、3月83%だった。これに対し2021水年では63%(年流出量1203mm)であり、1月50%、2月82%、3月188%だった。温暖少雪年では厳冬期1月の流出率が高く、融雪期3月でも降水量を上回る流出は観測されなかった。本研究結果から、少雪により融雪期の流出量が著しく減少し、下流域の水利用に影響を及ぼす可能性が示唆された。