2019 年 36 巻 p. 60-122
巨大災害にみまわれたコミュニティの復興と活性化は,住民が地域のリソースを活かし主体的に関わる内発的なものであることが望ましい。本研究は,東日本大震災の被災地である野田村において,一人の若い女性を中心に震災後に設立されたNPO 法人のんのりのだ物語の活動を事例として,被災コミュニティの内発的活性化を促す関係性の特徴を明らかにすることを目的としている。のんのりのだ物語の活動への参与観察,および,関係者へのインタビューを通して,のんのりのだ物語の活動が,地域の内発的な活性化を促したこと,そして,地域住民と外部者のコンサマトリーな交流が,内発的な活性化の鍵であることを見いだした。最後に,一人の若い女性が内発的活性化のリーダーとなったプロセスを,関係性の観点から論じた。