2007年3月25日に発生した最大震度6強の能登半島地震により,「のと里山海道(旧能登有料道路)」徳田大津IC~穴水IC間の27.0kmにおいて,大規模な盛土崩壊が11箇所,路面の段差・クラックが37箇所,橋梁損傷が6箇所と甚大な被害が発生し,緊急輸送道路でありながら通行止めの事態に至った。地震発生直後からの迅速な対策により,一か月後に暫定通行を,四か月後に本復旧を経て啓開を果たした。本報告では,被災した盛土を対象に,崩壊の特徴や地下水位について調査・解析し,腹付け盛土や片盛土で大規模崩壊が多く,地下水位やのり先付近の地形の関与が強いことを示した。また,盛土の安定性評価では,盛土横断方向の谷筋から浸透流入する地下水の推定が重要となることから盛土地下水位算定の簡便法を提案した。