地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
12 巻 , 2 号
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論文
  • 大野 博之, 小坂 英輝, 鵜沢 貴文, 稲垣 秀輝
    2017 年 12 巻 2 号 p. 161-175
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    新編日本の活断層には,確実度IIIとして活断層でない可能性の高い活断層も記載されている。様々な建設事業を計画・実施する場合,こうした確実度IIIの活断層の取り扱いが問題となるが,確実度IIIの活断層が「要注意な第四紀断層(工学的に問題となる活断層)」でないことを示した報告は見られない。しかし,リスクコミュニケーションが重要となってきている昨今,要注意な第四紀断層であるか否かを明らかにしておく必要がある。ここでは,新編日本の活断層の「66豊橋」に記載されている確実度IIIの活断層を例に取り上げ,第四紀断層調査を実施した。この結果,赤色風化したクサリ礫を含む段丘礫層等を特定し,少なくとも後期更新世以降断層活動がなく,要注意な第四紀断層ではないと評価できた。こうした事例を通じて,要注意な第四紀断層の工学的評価の在り方について提示した。
  • 森本 励, 川村 國夫, 宮下 孝, 山岸 達也, 高橋 裕之, 津田 雅丈
    2017 年 12 巻 2 号 p. 177-195
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    2007年3月25日に発生した最大震度6強の能登半島地震により,「のと里山海道(旧能登有料道路)」徳田大津IC~穴水IC間の27.0kmにおいて,大規模な盛土崩壊が11箇所,路面の段差・クラックが37箇所,橋梁損傷が6箇所と甚大な被害が発生し,緊急輸送道路でありながら通行止めの事態に至った。地震発生直後からの迅速な対策により,一か月後に暫定通行を,四か月後に本復旧を経て啓開を果たした。本報告では,被災した盛土を対象に,崩壊の特徴や地下水位について調査・解析し,腹付け盛土や片盛土で大規模崩壊が多く,地下水位やのり先付近の地形の関与が強いことを示した。また,盛土の安定性評価では,盛土横断方向の谷筋から浸透流入する地下水の推定が重要となることから盛土地下水位算定の簡便法を提案した。
  • 佐名川 太亮, 西岡 英俊, 松浦 光佑, 樋口 俊一, 戸田 和秀, 妙中 真治
    2017 年 12 巻 2 号 p. 197-210
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    地震時に地盤の液状化が発生した場合,地盤は急激に剛性ならびに強度を失うため,基礎構造物にも大きな被害が発生する。施工性・経済性に優れた基礎の耐震補強工法としてシートパイル補強工法が提案されており,普及が進んでいる。液状化地盤における補強効果についても検討は行われているが,矢板内部の液状化抑制に着目されたものが多く,構造的な補強効果については十分に検討されていない。本研究では,模型振動実験を行い,液状化地盤におけるシートパイル補強工法の構造的な補強効果についてメカニズムの解明を行った。また,実務設計で一般的に用いられている2次元の梁ばねモデルを用いた再現解析を実施し高い再現性を得られたことから,既往の設計手法をベースに補強効果が定量的に評価可能であることが示された。
  • 菅野 蓮華, 森口 周二, 高瀬 慎介, 寺田 賢二郎, 沢田 和秀, 児波 昌則
    2017 年 12 巻 2 号 p. 211-221
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    落石に関して,経路やエネルギーなどの空間分布を考慮した上で,その危険度を確率論的に評価するための手法を提案する。個別要素法を用いて落石挙動を評価し,その結果に混合ガウスモデルを適用することにより落石エネルギーの空間分布情報を構築する。さらに,その情報に基づいて,落石エネルギーがある閾値を超える危険性(超過確率)の空間分布を出力することができる。なお,検証のため,2015年に愛知県で発生した落石を対象として本手法を適用し,その有用性を確認した。その結果,提案手法は落石危険度の空間的・確率論的な評価を可能とするだけではなく,危険度評価のために必要となる落石シミュレーションの計算コストを抑制する効果があることが確認された。
  • 河 恩勁, 澁谷 啓, 片岡 沙都紀, 野並 賢
    2017 年 12 巻 2 号 p. 223-233
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    本論文は神戸沖の海成粘性土地盤の長期圧密沈下予測のために,乱さない試料を用いた室内一次元圧密試験を実施し,圧密降伏応力に及ぼす圧縮ひずみ速度および堆積年代の影響に焦点を絞った議論を展開している。試験結果の評価に先立ち,原位置で実施したS波速度検層結果とベンダーエレメントによるS波速度を比較することにより,乱れの少ない高品質な試料であることを確認した。疑似過圧密状態にあり堆積年代が異なる一連の試料群を用いて,圧縮ひずみ速度を変えた一連の圧密試験を実施したところ,堆積年代が若い粘土ほど圧密降伏応力に及ぼす圧縮ひずみ速度の影響が顕著であり,疑似過圧密比が大きくなることが明らかとなった。
  • 清原 雄康
    2017 年 12 巻 2 号 p. 235-244
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    地震時に高含水状態で泥流状崩壊をもたらした,しらすの液状化強度特性把握とその対策工の検討のために,しらすからなる相対密度Dr:65%の未改良土,Dr:65%のセメント改良土,Dr:90%の締固め土を用いて,拘束圧90~100kPaで,飽和非排水条件での繰返し三軸試験を行った.この結果,セメント改良土や密な土は,ひずみの発生が抑えられ,繰返し荷重作用時の正のダイレイタンシー効果による負の水圧発生により有効応力の回復が見込まれ,粘り強さが向上し,液状化強度も未改良土に比較してそれぞれ,2.5倍,3.3倍程度向上した.また,Dr:65%,Dr:90%の試験結果,挙動を参考に,土水連成解析コードLIQCA3D16による解析のための材料パラメータセットを決定し,被害のあった実地盤を想定した性能比較を行った.
  • 丸木 義文, 酒井 信介, 田村 泰志, 新町 剛志, 大前 雄史, 山崎 博, 井戸 秀明, 吉田 信之
    2017 年 12 巻 2 号 p. 245-261
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    斜面を合理的に維持管理するには,斜面の性能指標と時間の関係を明らかにする必要がある。本論文では,切土のり面の長期劣化を考慮したモデル斜面によるパラメトリックスタディを行い,斜面の性能指標の一つである安全率と維持管理の実務において計測される変位の関係,および斜面性能に影響を与える要因や着目すべき変位の観測位置などについて考察を加え,斜面の合理的な維持管理手法を提案した。パラメトリックスタディ結果では,切土のり面の性能指標と時間の関係が明らかになり,粘着力と変形係数が斜面の性能指標に大きく影響する要因であること,のり尻周辺が重点的な変位の観測位置として提案されるなどの結果が得られた。
ノート
  • 荻野 俊寛, 山添 誠隆, 三田地 利之, 林 宏親, 高橋 貴之
    2017 年 12 巻 2 号 p. 263-275
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    泥炭地盤上に施工される盛土併用真空圧密工法を念頭に,盛土の載荷速度および載荷時期の最適化による地盤の側方変形制御の可能性を検討するため,その応力状態を近似した室内三軸試験を実施した。二種類の不撹乱泥炭試料に対する実験から,負圧,軸応力およびそれらの複合的な載荷を受けた泥炭の変形挙動について明らかにした。一連の実験結果から,泥炭の構造に由来する強い異方性によって,負圧載荷による等方的な応力変化を受けた場合に発生する側方ひずみが軸ひずみに比べ,大幅に小さいことを示した。一方で,負圧および軸応力の複合的な載荷を受けた場合,発生する側方ひずみは軸応力の載荷条件,特に,載荷速度に大きく依存し,圧縮側から膨張側まで幅広く変化した。そのため,適切に載荷条件を設定することでほとんど側方ひずみを発生させることなく負圧および軸応力の載荷ができた。このことから,側方変形を生じさせないような盛土載荷の可能性が示唆された。
  • 森河 由紀弘, 鈴木 僚, 増田 彩希, H. M. Shahin, 中井 照夫
    2017 年 12 巻 2 号 p. 277-287
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    我が国では平野部において軟弱地盤が分布していることが多い。そこで,そのような地盤の支持力を確保するため,ジオシンセティックスを用いた地盤補強法が開発されている。本研究ではジオシンセティックスによる地盤補強法のメカニズムや効果的な補強法を明らかにするため,補強材の設置深度や端部構造が支持力や沈下挙動に及ぼす影響について検討を行った。重力場における2次元モデル実験と遠心場における3次元モデル実験,非線形弾塑性有限要素法による検討を通して,補強材の端部を地盤に固定する構造が有効であること,補強材端部を地盤に固定した場合における補強長は基礎幅の1.2倍程度で十分であること,補強材の設置深度は地表面から基礎幅の0.2倍程度以浅で補強効果が得られること等を確認した。
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