2017 年 73 巻 4 号 p. I_153-I_164
本研究では,高速道路インフラにおける未補修変状数が経年的に増加している理由として,1)変状の多様性と発生過程の複雑性に関わる要因と,2)現場における構造物マネジメントに起因する要因を指摘する.前者の影響を分析するために,変状発生の時間的生起分布の特性,変状相互間の波及・増幅関係の存在について分析する.後者に関しては,補修行為が新たな変状発生に及ぼす影響や,補修行為の実施判断におけるマネジメント上の課題について分析する.その上で,道路管理者が長期的な変状発生過程を抑制し得る可能性について考察する.さらに,未補修変状数を可能な限り低い水準に維持することの重要性を指摘するとともに,そのために必要なマネジメント体制を確立するための課題について考察する.