2021 年 16 巻 2 号 p. 131-141
吸着層工法は,自然由来の重金属等を含む掘削土の底部に施工し,重金属等の周辺環境への流出を抑制する工法として議論されている。本論文ではカラム吸着試験で得られる破過曲線が,Freundlich型の移流分散方程式の数値解に従うモデルをパラメトリック解析によって作成し,各モデルに対し異なる4通りの取得方法を適用した際に得られる分配係数の差異を調べた。さらに取得した分配係数を用いて,層厚30 cmの吸着層に浸透した汚染物質が吸着層底部に到達するまでに要する時間をシミュレーションにより求めた。その結果,本研究で扱った解析条件では,各モデルについて異なる4手法によって得られた分配係数は最大で40%程度の差異であった。また,Freundlich型の係数に従う破過曲線が得られた場合には,Henry型の数値解をフィッティングして分配係数を取得すると,最も安全側の評価となる可能性が示された。