2023 年 18 巻 2 号 p. 123-138
建設工事において,自然由来重金属等を含む岩石や土壌を掘削し盛土へ利用する際は,重金属等の長期的な溶出可能性も含めて,適切な漏出対策が求められており,その対策には「転圧」や「粘性土等による被覆」が含まれている。このことは,道路盛土等の施工に伴う「転圧」や,「覆土」により発揮される溶出抑制効果を適切に評価できれば,漏出対策の省略も含めた合理的な対策の立案に繋がるものと考えた。そこで本研究では,黄鉄鉱を含み急速に酸化が進行する砂岩を用いた仕様の異なる 3 つの実大試験盛土による約 4 ヶ月の曝露試験から,盛土内部の環境と酸性化の進行に,浸透水によって供給される酸素や温度が影響を及ぼしている可能性を示した。