2023 年 18 巻 3 号 p. 253-266
生物模倣による新たな工学的技術の獲得は,土木工学・機械工学における有望なアプローチである。二枚貝の中には殻と斧足のみを用いて,高エネルギー効率かつ小さい力で砂に潜行する種が知られている。本研究では,この斧足動作による砂への貫入抵抗力と貫入エネルギー損失における低減メカニズムの解明を目的とする。そこで,生物観察にもとづいた斧足動作の記述,斧足の貫入モデルの提案,テクスチャーアナライザーを用いた貫入実験を行った。その結果,斧足の厚さ・形状・無動作部位が貫入抵抗低減に寄与していることが判明した。