地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
18 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • 正垣 孝晴, 因幡 裕, 林 千賀, 黒田 一郎
    2023 年 18 巻 3 号 p. 239-251
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    江戸幕末以降の土木史跡の建設材料の強度をリバウンドハンマー試験RHTで測定した。測定材料は,石(18施設),コンクリート(23施設),煉瓦(9施設)である。RHTの強度SRは,同じ測定点を複数回打点すると値が大きくなり一定値に収束する。RHTで得た煉瓦,石,コンクリートの各SRの平均値と変動係数は,建設年代や施設の影響を受けない。石と煉瓦の一軸圧縮強度と乾燥密度にはユニークな関係がある。この関係は,石の岩種や,煉瓦の普通・焼過・耐火煉瓦にも依存しない。

  • 迫本 和也, 直井 悠人, 伊藤 大知, 小峯 秀雄, 後藤 茂, 石井 裕之
    2023 年 18 巻 3 号 p. 253-266
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    生物模倣による新たな工学的技術の獲得は,土木工学・機械工学における有望なアプローチである。二枚貝の中には殻と斧足のみを用いて,高エネルギー効率かつ小さい力で砂に潜行する種が知られている。本研究では,この斧足動作による砂への貫入抵抗力と貫入エネルギー損失における低減メカニズムの解明を目的とする。そこで,生物観察にもとづいた斧足動作の記述,斧足の貫入モデルの提案,テクスチャーアナライザーを用いた貫入実験を行った。その結果,斧足の厚さ・形状・無動作部位が貫入抵抗低減に寄与していることが判明した。

  • -地盤切削力の向上による排泥減量化-
    利根 誠, 下坂 賢二, 大野 康年, 伊藤 孝芳, 赤木 寛一
    2023 年 18 巻 3 号 p. 267-283
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    高圧噴射撹拌工法で発生する排泥物は,セメント系柱状改良体を地中で造成する際に副次的に地上排出される泥土状の混合物である。その内容物を大別すると,(1)切削水と土粒子が混合して地上排出したもの,(2)硬化材のうち改良結合材として寄与せずに浮遊土粒子との混合状態で地上排出されたものである。すなわち,排泥物の大部分は工法由来の水と硬化材であるため,これらの投入量を減じることが排泥物減量に寄与する。そこで,筆者らは,(1)に対して,高吸水性ポリマー水溶液を用いた地盤切削効率向上による排泥減量手法を,(2)に対して,所要性能確保(強度発現,流動性)と使用量低減を両立した硬化材による排泥減量手法を,この二点に着目した試験や実証を行っている。本稿では,このうち(1)の高吸水性ポリマー水溶液を用いた切削材に起因する排泥減量の効果について,室内および現場実証の結果を報告する。

報告
  • 上田 大輔, 沢田 和秀, 難波 正和, 八嶋 厚
    2023 年 18 巻 3 号 p. 285-297
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    近年山岳道路で土砂災害が頻発する中,迅速な道路復旧への試みとして大型土のうを用いた本復旧対策の検討が進んでいる。本研究では,大型土のうを用いた防護施設の本復旧対策適用化に向けた基礎データ収集のために,大型土のう積層体に対する実物大重錘衝突実験を行い,衝突に対する土のうの挙動や損傷形態,衝突エネルギーの適用範囲を検証した。その結果,大型土のうを下段6 個×3列,中段5 個×2 列,上段4 個×2列に積層した場合,1,300kJ程度までの衝突エネルギーを有する重錘を停止させることが可能であることを確認した。また,実験結果から,衝突エネルギーが増加すると,反応する土のうの数,つまり衝突エネルギーが伝播する土のうの数が増加することが確認できた。

  • ―実物大試験道路における空洞挙動の解明―
    桑野 玲子, 桑野 二郎, 瀬良 良子, 井原 務, 小堺 規行
    2023 年 18 巻 3 号 p. 299-315
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    都市部の路面下空洞に関する課題を解決するために,2018~2020 年にわたる産官学の共同研究において,既存の空洞データの分析,室内模型実験,数値解析,実物大フィールド試験,現道における空洞モニタリング等を実施し,「調査計画・空洞探査・陥没危険度診断・空洞補修に係る一連の合理的プロセス」,即ち道路陥没予防ソリューションの開発を試みた。空洞の生成・拡大メカニズムや実態を分析し,それに基づいた空洞ポテンシャルマップ,陥没危険度評価指標,空洞補修・予防対策メニューを開発・提案した。ここでは,一連の陥没対策検討の全体像の概略を紹介すると共に,実物大試験道路で実施したフィールド試験について報告する。道路構造を考慮した陥没危険度評価や補修方法の開発のために,人工空洞を設置した実物大試験道路を構築し,空洞上路面にて載荷試験を実施し 1 年以上にわたってモニタリングをするなどして,空洞挙動を解明した。

  • 高山 裕介, 山本 陽一, 後藤 考裕
    2023 年 18 巻 3 号 p. 317-330
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    Na型ベントナイト・砂混合土に対する約 1.8年の長期の圧密試験により,二次圧密過程の変形が加速的に増加する傾向が報告されている。そこで,このような二次圧密の加速挙動が生じた要因の分析を行い,それらの要因に対する対策を試験装置に施し,ベントナイトやカオリナイトを用いた10年以上を想定した長期圧密試験を開始した。本研究では,長期圧密試験開始から約2.7~4年経過時までの試験データに基づき,ベントナイトの二次圧密特性を調べた。その結果,試験開始から約2.7~4年の計測期間では,時間の対数に対して直線的に二次圧密が進行するという従来の粘土に対する知見と概ね整合的な結果が得られた。今後も試験期間が10年程度以上となるまで試験を継続し,ベントナイトのより長期的な二次圧密特性について調べていく予定である。

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