抄録
深層混合処理工法の一種である高圧噴射攪拌工法は,開削工事での底盤改良,シールド発進・到達部の地盤改良,既設構造物の耐震補強,地盤の液状化対策等に広く適用されてきている。高圧噴射攪拌工法の種類は多岐にわたり噴射メカニズム等の違いにより様々な特徴を有しているなかで,コスト低減・工期短縮等の面から,改良径増大に対する要求は高い。また,従来工法では円柱状の改良体が主流であるが,目的によっては壁状・扇形・格子状などの形状を容易に施工できる改良技術の開発が必要とされている。以上の背景から,自由形状および大型径の改良体の造成が可能な新しい高圧噴射攪拌工法として,マルチジェット工法を開発した。本報では,その開発のために行なった改良径を増大する噴射メカニズムの検討とそれに基づく噴射機構の改善,及び原位置での性能確認試験法の開発,その適用例と本工法の有用性(自由形状・大型径改良等)の検証の結果を報告する。