日本ヘルスケア歯科学会誌
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総説
歯周病新分類の臨床的意義と今後の展望
関野 愉
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 21 巻 1 号 p. 6-11

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抄録
若年性歯周炎Juvenile periodontitis(1977年,AAP;アメリカ歯周病学会)は,1999年の国際会議において,急速破壊性(侵襲型)歯周炎Aggressive periodontitisと改められた.さらに2017年のAAPとEFP(ヨーロッパ歯周病連盟)において,それまで「慢性歯周炎Chronic periodontitis」と区別されていた侵襲型歯周炎が,病態生理学的に異なる疾患であることが証明できないとされ,歯周炎Periodontitisのカテゴリーに統一された.そして,歯周炎は,その重症度,進行速度,広がりに基づいて分類されることとなった.この新分類は,①局所的病態ではなく患者単位での疾患定義,②疾患のコントロールと歯列の維持・管理のための複雑度を評価するステージ(重症度)および範囲と分布,③進行のリスクや治療に対する反応性を評価し治療・管理効果を高めるためのグレード(進行速度)を特徴とする.歯の喪失を重症度の指標に含み,抜歯によって重症度が下がるパラドックスはなくなった.グレードは,骨吸収の状態だけでなく,進行のリスクや治療への反応を評価するので,治療指標として有効なものになったと考えられるが,そのグレードの違いを分かつバイオマーカーは確立されていない.
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© 2020 一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会

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