日本ヘルスケア歯科学会誌
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総説
唾液細菌叢解析で表す歯周病の進行
山下 喜久
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 22 巻 1 号 p. 20-26

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抄録

唾液中には口腔の様々なニッチ(隙間)に由来する細菌種が検出される.歯周ポケットもそのニッチの一つであり,歯周病の進行に伴い,増殖した歯周ポケット特異細菌が唾液中に増加することが考えられる.このような仮説に立ち,唾液を検体として11細菌種からなる歯周ポケット特異細菌の唾液細菌叢中の比率と歯周病との関係を次世代シーケンサーによる解析結果に基づき調べた.その結果,歯周ポケット特異細菌の唾液細菌叢中の比率のカットオフ値を0.139%とすることで,深さ4mm以上の歯周ポケットが10~15部位以上ある歯周病患者を感度0.88,特異度0.7程度で検出できた.これまで,歯周病患者を集団検診の場でスクリーニングする際には,歯周プローブで歯周ポケットの深さを手間と時間を掛けて診査する必要があったが,以上の結果から,従来の歯周病検査に代わって唾液を検体とした細菌検査が歯周病患者の新たなスクリーニング法になることが期待される.

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