2006 年 2 巻 1 号 p. 59-65
本研究は,A病院に勤務する看護師の職業経験の質に関する現状と関係する看護師特性を明らかにし,職業経験の質向上を支援するための課題の検討を目的として行った。A病院に勤務する看護師501名を対象に,職業継続状況自己評価尺度と看護師特性調査紙を用いてデータ収集を行い,有効回答305について分析した。結果は,A病院に勤務する看護師が自己の職業経験の質をあまり高くないととらえており,職業経験の質に関係する看護師特性が,職位,臨床経験年数,A病院勤務年数,職場移動回数,職場役割の有無,やりがい感,職場方針との一致の程度,仕事に対する満足感,労働条件に対する満足感,仕事に対する疲労感,職業継続意志,職業継続理由,年齢,婚姻状況,子供の有無,年収の16変数であることを明らかにした。以上の結果は,A病院に勤務する看護師の職業経験の質向上に向け,看護職への肯定的な理解を促進する機会となるような内容のプログラム,役職や役割を果たすために必要な知識や態度の修得を目的とした中堅以上の経験を持つ看護師に対するプログラムの必要性を示唆した。