2024 年 21 巻 1 号 p. 79-86
【目的】国内の看護系大学において、報告されているキャリア教育の実践を文献検討により明らかにし、看護教育実践に向けての今後の課題を見出すことである。
【方法】医中誌Web版とGoogle Scholarを用い、「看護」、「キャリア」、「教育」のキーワードで文献を検索した。抽出された文献のキャリア教育の実践について、教育目標・教育方法・教育評価の視点で精読して文献検討を行った。
【結果】医中誌Web版で8件、Google Scholarで2件の計10件が該当した。教育目標として、主体的にキャリアを形成できることや、将来のキャリアデザインを設計できることを目標としている教育が多かった。ポートフォリオやキャリアシートの活用、看護職者の体験談を聞く機会を積極的に設けており、主に授業後のアンケートや個別面談からキャリア教育の効果を評価していた。
【考察】キャリア形成にはポートフォリオやキャリアシートなどで能力を可視化できるツールが有効であったと考えられ、看護基礎教育課程の早期から継続教育へシームレスにキャリア形成を進めるための教育が求められていることが示唆された。今後は、看護基礎教育課程からシームレスにキャリアを形成していくために求められる能力を明らかにし、具体的な教育的介入を検討する必要性が示唆された。