日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第45回日本家庭科教育学会大会
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高校生の服装規範とファッション観
—被服に関する教育への示唆として—
土屋 みさと堀内 かおる
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p. 10

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抄録

(目的)近年、制服のブランド化など「制服のファッション化」が進む一方、私服を制服のように着こなす高校生も増えている。高校生の服装規範意識の変化に対応し、被服教育も新たな教育的意義が問われている。そこで本研究では、制服や日常着にみられる服装規範と高校生のファッション観を明らかにし、今後の被服教育への示唆を得ることを目的とした。
(方法)制服や服装規範に関するアンケート調査を2001年6月∼7月及び10月に実施した。対象は首都圏の高校生男女2002名である。有効回収率は88.5%、データはパーソナルコンピュータに入力し、集計ソフトSPSSを用いて分析した。
(結果と考察)現在の高校生のファッション観の特徴として、(1)今だからこそできる自由な服装への指向、(2)自由さをあえて制限するような「枠」への依拠、の2点が認められた。高校生たちは、「自己主張」の一表現形態としておしやれをとらえながらも、準拠枠となる一定の服装規範を必要としていた。「枠」によって制限され服装が無個性化した中で、あえてその服装をわずかに変えることで個性を表現しようと試行錯誤している姿が見いだされた。したがって今後の被服教育においては 自分らしさを表現する力の育成が重要である。生徒の個性を表現しようとする意欲を尊重し、自らを主張する力の育成を通して、生徒が自己を見つめ直し、ひとりひとりが独自の自己表現力を身につけることが必要だと考える。

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© 2002日本家庭科教育学会
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