抄録
[目的] 高校生の犯罪が多発している現代では、家庭におけるコミュニケーション不足や家族のきずなの低下が理由になっている可能性が高い。そこでこれらを回復させるため、まず家事に注目し、今月行われた日本家政学会で報告した。次に本研究では、高校生に家族新聞を作成させ、その効果を家事労働の結果と比較検討した。
[方法] 富山県立富山西高等学校普通科の生徒(男子81名、女子69名)を対象に、冬休みの課題として家族新聞を作らせた。さらに、作成後のきずなの深さや会話の程度等についてアンケート調査を行い、家族新聞の家庭生活に及ぼす影響を調べた。
[結果] 「家族新聞を作ってよかったことは何か」という質問に対して、「家族の生活が把握できた」と答えた生徒は「家族との会話が増えた」と回答した生徒の約3倍であった。さらに、会話の増加とほぼ同数の生徒が「家族と一緒に過ごす時間が増えた」と答えていた。また、「家族新聞を作成するためにどのようなことをしたか」という質問に対し、「積極的に会話をした」と答えた生徒よりも「家族のそれぞれの様子をよく観察した」という回答の方が上回っていた。一方、全体の6割以上の生徒は家族新聞を作成することにより、家族のきずなが深まったと答えていた。
[考察] これまで会話を増やせば、同時に家族のきずなが深まると考えられてきた。しかしながら、今回のアンケート調査では、きずなの形成には会話の増加よりも積極的に家族の生活を観察したり、家族のことに関心をいだくことの方が重要であることがわかった。この結果は、第1報の結果、すなわち、「家事体験により家族との会話が増えたと回答したのは全体の3割であったが、7割の生徒が家族のきずなが深まった」と一致していた。したがって、現代の高校生は、家族に対して無関心なことから会話が減少し、それに伴ってきずなが低下すると考えられる。これらは家族新聞の作成や家事体験のように、積極的に家族及び家庭に関心をもつことにより、回復できると思われる。