抄録
【目的】本研究では、青年期の(1)自己理解(2)自己表現(3)自分探しを支援する授業を“青年期の「自分つくり」を支援する授業”と呼ぶこととし、家庭科の授業を通して以上の3項目を支援する方法について、検討することを目的とした。
【方法】1)先行研究の授業効果および問題点を参考に、高等学校家庭科保育領域における青年期の「自分つくり」支援の授業案を作成した。2)作成した授業案を元に授業を実施し、A:授業後の生徒の感想(自由記述、記名式)、B:質問紙調査(調査(1)(2)、無記名自記式)の結果から授業効果の検討を行なった。対象者は、東京都内の中·高一貫の私立女子高校に通う、高校2年生109名。授業の実施および質問紙調査は、調査者本人が、対象校の授業時間を活用して行なった。授業実施期間は、平成12年11月∼平成13年1月である。
【結果と考察】考案·実施した授業の青年期の「自分つくり」への効果が部分的に確かめられた。A:授業後の生徒の感想、全ての授業内容において生徒の「自分つくり」に効果の見られた記述が25%以上を占めた。「長所をクラスメイトに書いてもらうワーク」と「自分の生き方をテーマとする本作り」の授業は、6割以上の生徒の「自分つくり」に効果が見られ、授業の有効性が示唆された。B:質問紙調査の結果、“自己理解”に関して「自分には自慢できるところがあまりない」という項目で、授業後に有意に自尊感情が高まった。“自己表現”に関して「趣味としていること」「知的な関心事」「人生における仕事の位置づけ」の3項目で、授業後有意に家庭科の授業における話やすさが高まった。実施した授業に対して「家庭料で学んでよかった」と答えた生徒は68.4%、「個人的な事柄なので学校でやらない方がよいと思う」と答えた生徒は約1割であった。より生徒のプライバシーに考慮した授業の考案が、今後の課題としてあげられた。