抄録
【目的】自殺者数が3万人を越す昨今、青少年の自殺は壮年や高齢者の自殺と並び深刻な問題である。しかし、我が国の学校教育では、自殺予防の必要性を感じている教師は存在する反面、自殺のタブー視により生じる戸惑いや偏見、恐怖があるために、「自殺予防教育」はほとんど展開されていない。そこで、「自殺予防教育」を試みようとする教師が授業をするための一つの教材として、初歩的段階における「自殺予防教育」に関する教材の開発を試みた。
【方法】マイクロソフト社のパワーポイント2000を用い、アニメーション効果やインターネット上でのフリー素材を利用して、プレゼンテーション形式に作成した。さらに、本教材を用い、小学校6年生を対象に授業実践を行った。
【結果】本教材はタイトルを『大切な人を自殺から守るために』とし、自殺に関する誤解や自殺願望を打ち明けられた場合の対処法のポイントなどを紹介した。具体的には青少年の自殺の事例を掲載した「事例」や実践的な内容を多く含んだ「大切な人を自殺から守るためにきみにできること」などがある。特に後者は、クイズ形式の問題や意見交換活動などを含み、単なる知識的な教材ではない工夫をした。本テーマにおける授業実践では、強いタブー視があり、微妙で難しい授業であるにも関わらず、自殺について考えるきっかけ作りになったと考察される。