抄録
【目的】テレビにおける暴力殺人シーンは、子どもたちへの「死」の意識に与える影響が危惧されるが、テレビ視聴と「死」に関してはわが国では未調査である。本学会第44回大会において中学生を対象としたテレビ視聴と「死」に関する報告を行った。今回はその発展的研究として先の調査対象者の保護者を対象とし、比較検討することにより、今後の「いのち教育」の実践の手がかりを得ることを目的とした。
【方法】2000年2月∼3月、富山県と新潟県の中学生の保護者347名を対象とした自宅自記式による調査である。内容はテレビ視聴と「死」に関する全15項目で構成されている。
【結果】保護者は子どものテレビ視聴時間を正確に把握していないこと、テレビでの「死」の場面を見て子どもと異なり、理性的で前向きな捕らえ方をしている傾向があること、それらの場面を見て子どもより有意に多く影響を受けていると自覚していること、「死」に関する会話は子どもより有意に多く友人、近隣者、家族と行っていること、「いのちや死について考えること」は子どもより多いこと等の結果が得られた。ゆえに、子どもに「死」に関する授業を行う場合、子どもは大人と異なり「死」に関して情緒的に捉える傾向があること、「死」について考え、会話する機会が大人より少ないことを考慮し、過剰な恐怖心を与えない様配慮する必要があることが示された。