抄録
‹目的›本研究は、高等学校におけるジェンダー·フリー教育に関する授業実践の基礎的資料を得ることを目的とし、高校生のジェンダー観の構造的分析を通して、ジェンダー·バイアスを解くための授業の切り口を模索しようとするものである。
‹方法›(1)ジェンダー観の全体的傾向を把握するため、自記式質問紙調査を実施した。対象は高等学校2年生計820名(男子448名女子372名)、時期は2001年7月∼8月である。(2)ジェンダー観の個人内態度構造を把握するため、PAC(Personal Attitude Construct)分析を実施した。対象は(1)の対象者から選定した生徒計12名(男女各6名)、時期は2001年11月∼12月である。
‹結果›分析により得られた研究知見は以下の通りである。(1)性差別への気づきと性差観には高い関連性が認められたが、男女共学校では気づきの有無と個人の持つ性差感がストレートに結びつきにくい特徴がみられ、個人内の本音と建前の存在がうかがわれた。(2)性差観スケールではバイアスが低いグループに分類される被験者の中にも、個人内態度構造においては高バイアスの被験者と類似する項目が多く出現し、この意味で「隠れ高バイアス」ともいうべき被験者が存在した。この矛盾に対する自覚の有無という点で、男女で対照的な被験者が存在した。ジェンダー·バイアスの程度については、個人内態度構造のイメージ一般化のレベルとの関連性が見受けられた。今後は、授業実践校独自のジェンダー·バイアスを是正するための学習方法を模索していきたい。