抄録
【目的】自立した食生活を営む力を育成するために、先行研究論文や教育実践並びに学習指導要領・教科書を分析し、問題点を整理した上で、食事計画の学習内容を構想した。その結果、「生理・栄養」「食品」「調理」及び「消費者教育」「環境教育」「食事と生活」「食文化」の学習内容の総合と、食生活の機能の活性化を促す学習の両輪、そしてその相互関連を図った食生活教育のカリキュラム構想が必要であることがわかった(2001.8家庭科教育学会中国地区会発表済)。そこで本研究では、先に提案したカリキュラム構想に基づいて中学校1年生を対象に授業実践を行い、各事例ごとに生徒の学習効果を考察し、授業の有効性について検討することを目的とする。
【方法】生徒の学習効果と授業の有効性について検討するために、?各学習段階における学習効果?食事計画構成力の変容(授業前後にメニューと配膳図を描かせた)?全授業後の学習効果?各学習段階における授業評価の調査を、授業開始前、各学習段階ごと、及び全授業終了後に生徒にアンケート調査及び自由記述を実施した。研究対象者は、中学校1年生9名(男子4名、女子5名)である。授業者は中学校教員経験13年の教師で、授業の実施期間は2001年9月下旬から10月下旬までの約1ケ月である。
【授業の全体構造】学習の全体目標を、食生活の機能を理解し食生活に積極的に関わろうとする実践力を身につけ、「生理・栄養」「食品」「調理」及び「消費者教育」「環境教育」「食事と生活」「食文化」に関する学習内容を総合して食事計画を構成する力を育成する」ととした。全授業時間数は13時間である。その学習プロセスは、第1段階「朝食を注文しよう(4時間)」、第2段階「食生活の機能を考えよう(2時間)」、第3段階「食生活の機能を体感しよう(5時間)」、第4段階「家族と一緒に食べる朝食を考えよう(2時間)」の4段階とした。
【結果】各生徒ごとに差は見られるものの、?各学習段階における予習効果については、9事例とも学習効果があった。
?食事計画構成力の変容では、「生理・栄養」「食品」「調理」及び「消費者教育」「食事と生活」に関する学習内容が反映されたが、「環境教育」「食生活」、については反映が弱かった。また、食生活の機能の活性化を促す学習は、家族等に配慮した食事計画には至らなかったものの自己を中心とした食事計画構成力には反映していた。
?全授業後の学習効果では、生徒自身の体験や生徒の興味関心を引く教具の活用が授業を印象づけ、家庭では「調理」が実践され、食事に関心の低かった生徒が調理や配膳を行い栄養や食事計画に関心を持つ姿が見られた。さらに食生活教育の総合化を目指した授業では生徒に郷土料理やお菓子づくりなどの多くの視点を与えた。
?各学習段階における授業評価についても、?と同様9事例ともに高い評価が得られた。今後の課題として、発達段階に応じて「生理・栄養」「食品」「調理」及び「消費者教育」「環境教育」「食事と生活」「食文化」に関する知識・技能の深化・拡大が必要であり、特に「消費者教育」「環境教育」「食事と生活」「食文化」に関する学習や食生活の機能を促す学習ではさまざまな視点や立場に立った幅広い学習題材を設定して繰り返し学習する必要がある。さらに、食事計画学習で高まった食生活の改善意欲を継続させる学習開発も必要である。