日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 37
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第46回大会口頭発表
家庭科学習内容の日常生活における実践と親の実践、養育態度、小学生の頃の生活体験との関連
*田中 宏子
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抄録
【目的】家庭科教育は、生活をよりよくするために主体的に実践する能力と態度を育成することを目指している。また、多くの家庭科学習内容を日常生活で実践している人は、家庭生活を快適で豊かな気持ちで過ごしている人が多いという研究結果が得られている1)。一方、特に男子では、家庭科学習内容を日常生活で実践している割合が低く、どのようにすれば、日常生活に生かせるようになるのかを検討することは、家庭科教育の重要な課題である。 そこで本研究は、家庭科学習内容を日常生活でよく実践している人とあまり実践していない人がいることに注目し、個人差を生む諸条件を明らかにすることを目的とする。本報告では、個人差に影響を及ぼすと考えられる要因として、親の日常生活における実践と養育態度、小学生の頃の生活体験をとりあげ、家庭科学習内容の日常生活における実践との関連を検討する。
【方法】関西地区の大学の学生(1回生~院2回生)を対象に、2002年7月から10月にかけて、質問紙法により調査を行った。有効回収率は97.6%、有効回答数は491(男子191、女子300)であった。 調査内容は、家庭科学習内容の日常生活における実践(38項目)親の日常生活における実践(38項目)、親の養育態度(14項目)、小学生の頃の生活体験(35項目)とした。
【結果及び考察】
1.親と子の実践の関わり 父親と母親がともに実践している場合は、男子も女子も実践している人が多く、母親のみが実践している場合は、女子では実践している人が多かった。しかし、男子では実践している人が少なかった。男子は、父親が実践すると、実践する傾向が認められた。
2.親の養育態度と実践との関わり 男女とも実践している人は、小学生の頃、父親や母線と「一緒に遊んだ」「ほめてもらった」「責任をもって行動することを教えてもらった」「子どもの意見、考えを尊重してくれた」の割合が有意に高く、さらに母親から「家事をする機会を与えてもらった」割合が有意に高かった。特に、父親が実践しておらず、父親から「命令されたり、指示されたりした」経験がよくある男子は、実践していない割合が有意に高かった。親と子の心の触れ合いを重視し、子どもの意見を尊重し自立を促すように接し、しかも家の仕事をさせる家庭では、男女ともに家庭科学習内容を実践する傾向が認められた。
3.小学生の頃の生活体験と実践との関わり実践している人は、男女とも「塾やおけいこに通った」「忙しかった」「テレビをみた」などの項目を除き、多くの項目で小学生の頃の生活体験が有意に多かった。現在と小学生の頃を同じ項目でみると、現在実践している人はすでに小学生の頃体験していることが多かった。「自分で試行錯誤し、工夫する機会があった」「人に役立っていることを感じた」「人と協力する機会があった」「家庭科で習ったことを家で話したり、やってみたりした」という体験が小学生の頃に多かったと答えている人は家庭科学習内容の多くを実践していた。以上、親の日常生活における実践、小学生の頃の親の養育態度、小学生の頃の生活体験は、家庭科学習内容の実践に影響していた。実践によい影響を及ぼす2つの要因が考えられる。1つは、人との協力や交流を通して思いやりの心が育まれていること、もう1つは、試行錯誤しながら自分の頭で考え、工夫できる機会を与えられていることである。「生活科」「総合的な学習の時間」が設立され、完全週休二日制が実施された中、子どもたちの体験は各種豊富になってきているが、家庭科学習内容の実践につなげるためには上記の2つの視点は大切であると考える。
1)日本家庭科教育学会第45回大会研究発表要旨集、P37,2002.
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© 2003 日本家庭科教育学会
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