抄録
【目的】現在の日本では都市化、人間関係の希薄化とともに、孤独や不安を癒すため家族同様の存在としてペットと暮らし、生活に欠かせないぬくもりを求めるようになってきている。このような現状下、ペットとの別れによって生じるペットロスからの立ち直りが深刻化してきているが、我が国ではまだペットロスについての研究は浅く、それらによる心身障害については誤解が多い。さらに学校で,は、生活科、総合的学習今時間等との関連により小動物を飼育し「生命尊重教育」「心の教育」に基づく授業展開がなされているものの、小動物の扱い方や死についての知識が不充分なまま、担当教員個人に任されている現状である。故に本研究では「いのち教育」の一環として学校教育におけるペットロス教育の在り方についての考察を目的とし、文献検索、CD-ROM教材の開発、授業実践を行なった。
【方法】
?データヘースを用いた国内の文献検察、書籍や獣医師からの情報によりペットロス、ペットの飼い方等について資料収集を行なった。
?CD・ROM教材は、マイクロソフト社のPowerPoint2000を用い、アニメーション効果やインターネット上のフリー素材を利用して、プレゼンテーション形式に作成した。
?公立小学校6年生を対象に、開発教材を用いた2時間の授業実践を行い、本教材の有効性、改善点を検討した。
【結果及び考察】
?文化的背景から見た人間と動物の歴史、現在の日本における動物の飼育状況とそれに伴う問題点などを踏まえながら、ペットロスにおける心身の症状と悲嘆のプロセスを中心に、ペットロスに対するケアについてまとめた。
?開発教材はタイトルを『ペット・わたし・ペットロス』とし、全4章160場面で構成した。第1章では、ぺツトの定義を始めとして、ペットの歴史や病気、法律について提示し、それらを務まえた上でのペットの飼い方を学ぶことができる内容である。第2章では、第1章で学習したことの確認と補足のためのクイズ形式学習と問題解決学習とを行なえる内容である。第3章ではヘツトロスの定義と悲嘆のプロセスを挙げ、製作者自身のペットロス体験談を物語風に展開し、ぺットロス未経験の学習者でも理解し易い内容になっている。 第4章では、ペット・ペットロスについての相談窓口や、参考書籍を示した。
?授業実践では、ペットロスという用語を初めて耳にした児童が大半であったが、「いのち」をテーマとした授業としては比較的容易に児童に受け入れられた。実際ペットロスについて触れたのは1時間だけであったため、学習内容は不充分であったが、授業後の感想にはぺットロスに陥った時の自他共に対する支援についての記述が多く、今後自分の生活の中で生かしていく意思が見られた。このことから、児童達のペットロスケアヘの認識を高めることができたと考察され、本教材の有効性は認められたと考察される。