日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 49
会議情報

第46回大会ポスターセッション
児童期の食行動形成における家庭での食事、学校給食の特徴と役割
朝比奈 玲子吉原 崇恵
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
<目的> 子どもたちは毎日食している学校給食でさえも、どのような過程を経て作られ、供されているのかを知らないということが事前の予備調査で明らかになった。児童期は成人型の食行動・食習慣に大きな影響を与える時期である。だからこそ、この時代に人間の食行動の特徴である「食べるために作る」という関係認識を築いていかなければならない。そこで本研究では、「食べる行動」と「料理を作る行動」に注目し、子どもたちの食行動を明らかにする。そして、子どもたちが家庭での食事・学校での給食をどのように感じているのかを明らかにし、子どもの食行動形成におけるそれぞれの食事の役割における特徴を生かすことを検討していく。
<方法> 調査対象を選定するために、静岡県内の小学校を地区ごと(東・中・西部)に、小・中・大規模校の3つに区分した。その中から、中規模校のみを調査対象とした。次に各地区ごとの給食提供形態別の比率を出し、各地区5校計15枚になるように抽出した。東部地区は自校方式:センター方式が4:1、中部地区は1:4、西部地区は4:1であった。調査対象は6年生(男子児童547名、女子児童513名、計1060名の有効数)である。調査は自記式質問紙留置き法で行った。 実施時期は、2002年7月である。
<結果> (1)「食べる行動」と「料理を作る行動」からみる子どもの食行動の実態 子ども自らが料理を行うことは、他者が作った料理に込められている気持ちを知り、子ども自身の食べ方の変化を生じさせることがわかった。また、子どもが料理を作ることは、「食べるために作る」という一連の流れを経験することができる。そして、他者が作った料理を食することが多い子どもにとって、作っている人がわかる食事を摂るということは、その人が食べる人のことを考えて作っていることがわかり、食べる時に作り手の気持ちを考えることになり、食べ方の変化を生じさせることがわかった。
 (2)家庭での食事の役割 子どもたちは家庭での食事について、「温かいものが食べられる」「おかわりができる」「作っている人がわかる」「みんなの好きなものがわかる」「料理の作り方がわかる」と捉えていることが明らかになった。家庭での食事は、料理を作る場と食べる場が近いところにある。つまり、家庭での食事は料理を作っている人の気配を直接的、間接的に子ども自身が感じ取ることができる点において特徴的である。このような家庭での食事を通して、子どもたちは作る人がいて、自分は食べているという関係を見い出すのだと考えられる。
(3)学校での給食の役割 学校での給食は、「いろんなメニューがある」「栄養バランスがよい」「嫌いなものでも食べることができる」「みんなで楽しく食べられる」「みんなで同じ物が食べられる」「食事についての話がある」と捉えていることが明らかになった。学校給食ではみんなで同じ物を食している。その中で、子どもたちは、仲間集団に対して共感性を持ったり、共に食べている人が不快にならないようにマナーに気を配ったり、自分の偏食に気づいたりすることがわかった。 
(4)まとめ これらのことから、子ども自らが料理を作る経験と料理を作っている人がわかることは、「食べるために作る」という関係認識を育てることに関連することが推察された。 家庭での食事の役割は、人間の食行動の特徴である「食べるために作る」という関係認識を子どもたち自身に育てることである。一方、学校給食は、同一食を仲間集団で食べるということを通して、食べる行動を変化させる役割を持っているといえる。今後はそれぞれの役割が発揮され、連携しあえる方策を考えていきたい。
著者関連情報
© 2003 日本家庭科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top