日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第49回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 20
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第49回大会 口頭発表
小学校家庭科被服製作における学習指導法の検討
製作段取り票に着目した授業の試み
*小谷 敦子小林 陽子
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抄録

【研究目的】
 現在,小学校家庭科の衣生活に関する製作学習は「生活に役立つ物の製作」がある。被服製作は児童がひとりで製作活動を行うため,児童の技能・知識や学習に対する意欲などが顕著に現れる。特に,製作活動に対する他者依存的な取り組みが「次どうするの」「これから何するの」などの質問に現れる場合が少なくない。「自ら学び自ら考える力の育成を図る」ためには,主体的に取り組めるような製作学習の指導法が必要であると思われる。
 そこで本研究では,作品のできあがりを想定し,製作手順や製作時間の見通し,製作に必要な材料や用具などの準備,すなわち製作前段階の段取りに着目する。具体的には毎時間製作活動を始めるにあたり,製作手順やその時間に必要な材料や用具を記入する「製作段取り票」の導入を試みる。ここから,主体的な学習を支援する方法として,被服製作学習における製作段取り票の有効性を検討する。
【研究の対象・期間および方法】
 調査対象は鳥取県内のT小学校5年生2クラス75名で,調査期間は平成17年12月から平成18年2月までである。
 調査事項は,(1)製作活動中の質問総数とその内容,(2)製作時間,(3)教師の評価,(4)授業前後のアンケート調査,である。アンケートは授業やエプロン作りに対する14項目からなり,「いいえ」「どちらでもない」「はい」の3件法である。14項目をキーワードで示すと「必要性」「実践」「退屈」「興味」「意欲」「やりがい」「新知識」「ねばり」「なごやか」「満足」「探究心」「生活に生かす」「製作理解」「製作内容」である。また自由記述で児童の感想を求めた。
 以上の調査事項を,製作計画の時間を十分にとり,授業ごとに児童自身が見通しをもって製作活動できるよう製作段取り票を用いた実験的授業を実施したクラス(A群)と,通常のエプロン製作の授業を実施したクラス(B群)の2群で比較し分析検討した。
【結果と考察】
(1)製作活動中の児童の質問総数については,A群のほうが少なく,内容についても「次どうするの」「これから何するの」といった製作手順についての他者依存的な質問はB群の14件に対して2件と圧倒的に少なかった。
(2)製作時間はB群のほうが短く,A群より早く完成した児童が多かった。
(3)教師の評価はA群のほうが多少高かった。
(4)アンケート結果を単純集計した結果,両群とも「はい」と答えた生徒が多かった。相関関数の結果から,「興味」「活用」「意欲」といった「授業関心」,「満足」「ねばり」「なごやか」の「授業態度」と「活用」「探究心」の「授業活用」の3つのグループに分けることができた。クロス集計の結果,「必要性」「意欲」「ねばり」「なごやか」以外は2群の結果に大きな差が生じた。これは上記の「授業関心」と「授業活用」のグループに匹敵することから,製作段取り票の導入が児童の被服製作学習に有効であると考えられる。また,自由記述の内容を見ると,「エプロン以外のものを作ってみたい」と記述した児童がA群は12%,B群は3%であり,A群のほうが次の製作活動に意欲を示したことがうかがえた。主体的な製作活動によって,できることへの自信やさらなる製作意欲へとつながったのではないかと推察する。
 以上より,製作段取り票の導入は製作時間には影響がみられなかったものの,「探究心」「満足度」「退屈」など児童の意識には大きく影響し,主体的な学習を支援するためには有効であることがわかった。
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© 2006 日本家庭科教育学会
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