抄録
【1.研究の背景と目的】
高等学校では、家庭生活固有の問題だけでなく、さまざまな社会的課題と統合させながら生活の中で生ずる問題解決を図る学習が求められている。自立した生活者として環境意識を高め、企業や行政の在り方を問い・考える事は緊急かつ重要な課題である。そのための効果的な教材及び授業閉発が求められている。本研究は、保育領域と「環境」に関する学習の統合を行い、環境に配慮した生活と子どもを育てることを考えさせる授業を閉発・実践し、その有効性を検討することを目的とする。なお、本研究は咋年の共同研究―環境に関する授業開発を保育の領域と「環境」を統合させ計画・実践したものである。
【2.研究方法】
(1)調査対象:都内公立高校1校、保育専門学校1校女子58名男子36名の合計94名(2)調査内容:生徒・学生の実態及び意識調査(3)授業内容・計画1)授業内容2)授業計画3)授業実践4)授業および教材の分析である。(4)調査期間・授業実践(A)高校_I_2005年5月から6月末までの保育領域『家庭総合』12時間、_II_2006年1月から2月の『家庭総合』授業時数時間、(B)専門学校I2005年4月から5月まで『保育原理』10時間、_II_『環境指導法』10月から11月まで時間で行った。Iは保育にかかわる学習内容、_II_は環境とリサイクルにかかわる学習内容と二部構成でおこなった。
【3.結果と考察】
(1)生徒・学生の実態
授業前に高校生の環境に関する知識と行動を把握するために調査をし、エコライフチェックシートの記入をさせた。このエコライフチェックシートの内容は、1)コンビニ利用の回数、2)コンビニで買うもの、3)環境関連の言棄の知識、4)ライフスタイルについて、など14項目である。
この調査は2005年に行い本年も同様、環境にかんする用語を知っているものの、環境を考慮したライフスタイルとは直接には結びついていないことが明らかとなった。このように分析した結果、日常生活という設定の中でどのように具体的に生徒・学生が生活の主体者として実践・行動できるかを保育という人を育てる領域における「おもちゃ」に着目した。
(2)授業実践の概要
(1)の結果に基づき、授業計画を考え実践した。今回は第_II_部の授業の概要を述べる。
第_II_部 環境とリサイクル・リサイクルおもちゃ
1.「地球温暖化とは何か」:地球温暖化のしくみと原因
2.「地球温暖化の影響は」:ビデオの視聴など
3.「温室効果ガスと人間生活はどうかかわるのか」:世界各国と日本における二酸化炭素排出量について知り、家庭生活におけるごみ問題を理解させた。
「ごみとリサイクル」とは何か:捨てればごみ、再利用すれば資源という考え方
4.「安全なおもちゃ」とリサイクルおもちゃを考える―あふれるおもちゃの現状と事故
5.「リサイクルおもちゃを作る」:授業のまとめとして、リサイクルおもちゃ作成により地球温暖化と生活、とのかかわりを再認識させた。意欲を持たない生徒も興味・関心をもって取り組んでいた.
【4.まとめ及び今後の課題】
授業は、多様な教材を用い、生徒の作業も多く取りいれた。「環境」は分別ゴミを(強制的に)させられるイメージが生徒・学生には強く、再利用するという視点が弱い。そのためおもちゃを作るという行動を入れ、分別する利点を重視した。子どもを育てるという行為の中に環境整備―リサイクルおもちゃの作成―があることを理解させた。
今後は、実際の生徒の生活がどのように変わったのかなど、学習後の変化を調査することが必要である。そして資料の適切さも含めてさらに検討を加えることを課題としたい。