日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第52回大会・2009例会
セッションID: A2-3
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口頭発表
高校生の家庭科学習観
―課題価値概念と進学指導体制の違いに着目して-
*森下 智子
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抄録
【目的】学習意欲ややる気といった学習動機づけの研究において,動機づけの価値的側面をより重視すべきことや,青年期の自己決定性の高い自立的な動機づけを考える場合,価値の問題を無視するわけにはいかないことが指摘されている(速水,1995)。家庭科教育における学習意欲ややる気といった学習動機づけに関わる先行研究には学習に対するやる気のモデルを用いて,学習者自身の学習意義の認知と学習態度の関連を検討したものなどがある(福田,2000)。しかしながら,家庭科の学習に対する価値や重要性といった個人の内面化された意識,つまり価値づけと動機づけの関連性に焦点をあてた研究はみられない。
そこで本研究では,Eccles & Wigfield(1995)の「課題価値:task-values」の概念を取り入れ,さらに大学受験と家庭科教育の関連を検討するために進学指導体制の違いに着目し,家庭科学習観を明らかにすることを目的とした。
【方法】高等学校で家庭基礎を履修している公立高校4校の1年生153名を対象に質問紙調査を行った。
具体的内訳はA群(=進学指導強化校)77人とB群(=進学指導を強化していない学校)76人であった。
調査時期は2008年2月で,有効回答率は82.7%であった。質問紙は課題価値の概念的枠組みをもとにして伊田(2003)が作成した「高校生版・課題価値測定尺度」を家庭科の教科の特徴をふまえた内容になるよう修正を施して作成した。調査内容は,1)課題価値測定尺度(25項目),2)家庭科志向性尺度:能力認知,課題の困難度,個人的重要性(各4項目),学習態度(感情成分3項目,認知成分4項目,行動傾向6項目),3)達成動機測定尺度(24項目)であった。
【結果】高校生の家庭科学習観:
1)向上性獲得価値と内発的興味価値に対しての価値づけが高かったことから,学習に対する肯定的な感情をもっていることや,学習することにより人間的に成長できる,向上できると考えていることがわかった。優越性獲得価値や将来的利用価値に対しての価値づけが低かったことから,家庭科の学習が優越感や有能感をもつことには繋がっておらず,できることで誇らしさを感じてはいなかった。また家庭科は進路目標の実現に関係しないと捉えており,現在の学びが将来の仕事や進学後の学習内容と結びついていないと考えていることがわかった。
2)将来的利用価値と個人的重要性の関連は強く,学習観形成にキャリア観が大きな影響を与えており,家庭科が進路目標の実現に関係しないと捉えている場合は,家庭科の学習観がよくないことがわかった。
3)学習することの意義認知は非常に高く,大切なことを学んでいると認識してはいるが重要であると捉えていないため,学習行動場面においては積極的ではなかった。
4)実習授業に対しては自信が無く,そのことが家庭科に対して困難さを感じる原因となっていた。
5)全体の約7割の生徒が家庭科学習に対して高い価値を見出しており,家庭科の学習態度を含めた学習観は良好で,男子より女子の方が良好であった。また,価値を見出していない3割の生徒の約60%が進学指導強化校の生徒であり,その70%が男子生徒であった。
性別および指導体制の違いと学習観:
1)家庭科の学習観には,男女差だけではなく,指導体制の違いが影響を与えていることがわかった。
それは男子において現れており,女子には見られなかった。また,男女差はA群においてのみ現れるのであって,B群には生じていないことがわかった。
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© 2009 日本家庭科教育学会
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