日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第52回大会・2009例会
セッションID: A2-4
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口頭発表
大学生の家庭科観
-教員養成系学部大学生と生活科学系短期大学生の実態から-
*志村 結美, 大橋 寿美子
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抄録
目的

 家庭科教育は生活に直結した実践的活動を通して、個の生き方を創りながら、家族、地域・国際社会の人々と「共に生きる力」を育てることをねらいとしている。しかし、そのねらいは的確に児童・生徒に伝わり、認識されているのであろうか。また、指導する教員も家庭科教育のねらいを正確に把握し、それを伝えようとしているのであろうか。
学習基本調査報告書(ベネッセ2007)によると、家庭科の学習を開始する小学生は家庭科を好きであるとの回答が84.3%と最も多く、その後、中学生45.6%、高校生41.3%と家庭科を学習するにつれ、減少している現状が報告されている。もちろん、好嫌度のみで家庭科教育の成果を計ることはできないが、児童・生徒の興味関心度は授業にとって重要なファクターであり、学習者の実態や動向を把握しながら、授業を構成し、運営していくことが授業者には望まれるといえよう。
 1989年3月告示の学習指導要領において、小学校から高等学校まで一貫して男女が共に学ぶ家庭科教育が提唱され、実施されるようになってから15年近く経過した。男女が共に学ぶ家庭科が定着している中で、どのような家庭科教育が必要であり、求められているのか、今一度、実態を把握する必要があると考えられる。そのためには、児童・生徒の実態はもちろんのこと、卒業生、教員といった多様な立場からの家庭科観を検討する必要がある。
 そこで、本研究は、小・中・高等学校における家庭科の学習を終え、多様な自立の必要性を認識する時期である大学生の家庭科観を把握し、家庭科教育の抱える課題を浮き彫りにすることを目的とした。特に将来、小学校の教員として、家庭科を指導を担う可能性のある教員養成系学部の大学生と家庭科の教育内容と関連の深い生活科学系短期大学生の実態調査を行い、比較分析等、検討を行うこととした。

方法

調査対象は、国立大学教員養成系学部の大学生210名(女性136名、男性74名)、生活科学系短期大学生146名(全て女性)であり、調査期間は2007年4月~2008年9月である。
なお、調査内容は、大学生が持つ家庭科に対する認識、すなわち家庭科観であり、調査項目は、「家庭科の好嫌度とその理由」「家庭科に対するイメージ」「心に残っている家庭科の授業」「家庭科の授業で身についた力」「小・中・高等学校における家庭科学習」「現代の家庭科教育に求められているもの」等である。

結果及び考察

 大学生は家庭科のイメージや家庭科に求められるものとして、「実生活に役立つ」「生きていくために必要なことを学ぶ」「自立のための基礎的能力を獲得する」等を多くあげ、家庭科教育の目標や育成したい能力も同様に捉えていることが明らかとなった。
両大学とも家庭科を約85%の学生が肯定的に捉えており、性別による大きな違いは認められなかった。また、教員養成系学部学生における性別比較の結果、一部の内容で性別による違いが認められたが、概ね違いが認められず、男女共修家庭科の成果のあらわれと推測される。
 学習内容として、やはり調理実習をはじめとする実習・体験学習が印象に残っており、より一層の実践的・体験的学習の充実と、その実習・体験学習をいかに生活に定着させていくのか、指導の工夫が求められているといえよう。また、実践的・体験的な活動を取り入れていない授業に対する否定的な感想も認められ、そのような授業をもいかに充実させ、児童・生徒の学びを深めることができるか、更なる検討を加える必要が考えられる。
 今後、家庭科のイメージと可能性をより深く、そして広く拡大させていくためには、ただ技能や知識を獲得し、生活に役立てるのみでなく、そこから、学習者の生活や生き方、考え方の有り様と深く関連していく教科として、授業のより一層の充実を図る必要があるといえよう。
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© 2009 日本家庭科教育学会
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