日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第52回大会・2009例会
セッションID: A1-4
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口頭発表
大学生における人生観とペット観との関係
*得丸 定子
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抄録
【目的】近年のわが国では、社会・生活環境が変化するなかで、ペットはコンパニオンアニマルと呼ばれる存在になっている。 “ペットブーム”がおき、「家族の一員」として溺愛されるペットがいる一方、ペット産業の商業倫理のひずみや、ペット飼育無責任の結果として「死」に追いやられるペットが多数いる。その“ペットの二極化”という 極端な現実の問題にアプローチする一段階として、また、学校教育でのペット周辺の「いのち教育」を行う際の知見を得るために、大学生を対象とした人生観とペット観に関するアンケート調査を行った。
【方法】「人生観とペット観に関するアンケート」調査は、平成21年5月~6月に実施。対象者は、新潟県J大学生と院生計525人(男性192人、女性220人)。調査項目は「心理尺度に関するもの」81項目、属性4項目、「ペットの飼育に関するもの」4項目、「ペットの位置づけ・役割に関するもの」3項目、「ペットの飼育・責任に関するもの」4項目、「ペット飼育の知識」3項目の計99項目の質問で構成した。統計処理は、SPSS 16.0等を用いて行った。
【結果】まず、「心理尺度に関するもの」81項目について因子分析を行い、5因子抽出した。因子名は、第1因子「不安・抑うつ型人生観」第2因子「孤独型人生観」、第3因子「社会参加型人生観」、第4因子「協調型人生観」、第6因子「宗教肯定型人生観」と命名した。(以下、因子名の「人生観」を略して表記する)
各因子とペット観の比較を行うため、因子得点をカテゴリー化(因子得点±0.40を高群、それ以下を低群と)し、これらのカテゴリーとペット観に関する項目とで有意差検定を行った。
その結果、「不安・抑うつ型」低群は、ペットに生きがいを求めない傾向が見られた。「孤独型」高群はペットへの関心が薄く、心のエネルギーがペットにまで向かないのではないかと考えられる。「社会参加型観」高群は、各ペット観項目が高い結果となった。ペットを通じて社会参加が広がっている結果やペットを生きがいと感じる傾向が出た反面、ペットの世話を面倒くさいと感じる人も多く、社会参加意識とペット飼育責任意識との両立の難しさが垣間見えた。「協調型」高群はペットを介しての社会参加が低い結果が得られた。元々協調性の高い人はペットを媒介にしなくても多くの人と交流ができるためと考えられる。「宗教肯定型」の因子群は全て高群に偏りカテゴリー化できなかったためペット観との比較は行わなかった。
性別とペット観の比較では、女性の方が「ペットがいるために自分の時間や趣味が制限される」と思っていない人が男性よりも多く、ペットをつれて外出する際の正しい知識を持っている人が男性よりも高かった。
飼育経験の有無とペット観では、飼育経験のある人の方がペットを生きがいと感じ、また、ペットに自分の時間や趣味が制限されていると感じている傾向が高かった。また、ペットをつれて外出する際の知識について飼育経験者の方が低いと意識している結果が出たが、このことはペットを実際飼ってみると知識のなさを実感し、反省としての意識により、このような結果が示されたと考えられる。
以上、人生観により異なるペット観を持つこと、ペットを通じて社会参加が促されることは確認できた。反面、ペットを介した社会参加拡大や生きがい効果の影として、ペットの世話を厭う傾向がみられ、この延長線上に身勝手さの代償としてペット遺棄や殺処分が生ずると考えられる。また男性へのペット教育が望まれるようである。さらに実際にペットを飼うことは、観念ではない、反省的自我が生じることが示された。
以上のように、人生観とペット観に関する具体的な関係が把握され、今後のペット周辺の「いのち教育」への有効な知見が得られた。
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© 2009 日本家庭科教育学会
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