日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: A1-3
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口頭発表
中・高校生の食情報に関する実態と家庭科における課題
ボディ・イメージとダイエットへの関心
*河野  公子神田 由紀
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抄録
〈目的〉中・高校生の時期は,適切な食習慣を確立する上で重要な時期であるにもかかわらず,様々な食生活上の問題が指摘されている。特に,若年女性の痩身志向による間違ったダイエットの問題は,「健康日本21」にも目標項目が揚げられている。そこで,中・高校生のボディイメージやダイエットへの関心と食情報との関連について調査し,今後の家庭科における食指導の在り方を探ることを目的とした。〈方法〉2009年2月~4月に,関東の中学校及び高校各2校のいずれも2年生計648名(男子316名,女子332名)を対象に自記入式調査を実施した。調査内容は,生活リズム,食生活,身体や健康の状態,ダイエットへの関心,健康や食情報の入手法,家庭科の授業観の6項目である。回収後,有効な638票(有効回収率98.5%)について,統計解析ソフトSPSS11.5Jを用いて分析した。統計的な有意差の検定は,χ²検定を用いた。 〈結果〉1)起床時刻は,高校生がやや早いものの6時~7時半が多かった。就寝時刻は,男女とも中学生23時台,高校生0時台が多く,起床時に「すっきり目覚める」者は8%であった。テレビの視聴時間は,2時間以上が最も多く38%で,中学生の方が長く,高校生では男子の方が長かった。ネット利用は少なかった。2)日常の食生活に関する肯定的な回答は上位から,「3食食べる」90%,「外食やコンビニの利用は少ない」74%,「野菜をたくさん食べる」69%,「食事時間が決まっている」69%,「好き嫌いはほとんどない」65%,「多種類の食品を摂る」63%であった。中高別では,「外食やコンビニ利用が多い」のみ高校生の方が有意に高く**,性別では「野菜をたくさん食べる」のみ,女子の方が有意に高かった**。3)ローレル指数段階では,男子は,「痩せぎみ」が多く(中57%,高47%),女子は,中学生は「痩せぎみ」が56%で,高校生は「標準」55%であり,有意差が認められた**。現実の体重と理想体重との差は,女子で「痩せたい」とする者が多く,平均-3kgであった。4)授業以外の運動については,30分未満が最も多く32%であり,特に,高校生の5割,女子の5割が30分未満であった***。5)健康状態については,「疲れやすい」のみ5割を超えた。中高別では,「身体がだるい***」「「何もやる気が起きない**」「便秘気味である***」「めまい,立ちくらみを感じる*」について,高校生の方が悪く,すべての項目で,女子の方が悪い結果であった。6)ダイエットへの関心については,「太っている」は48%で,「もっと痩せたい」52%,「ダイエットに関心がある」36%,「ダイエットしたい」31%,「現在ダイエット中である」13%,「今までにダイエットをしたことがある」20%,「家族がダイエットしている」25%であった。中学生より高校生の方が,男子より女子の方がダイエットへの関心が強く,すべての項目において有意差が認められた。7)バナナ,こんにゃく,寒天,納豆,酢などの食品を用いたダイエット法については,情報源としては「テレビ」を挙げる者が多かったが,「内容まで知っている」が5割を超えたのは,「バナナダイエット」のみであり,「聞いたことがある」程度の認知度であった。8)健康や食に関する知識の入手方法としては,「テレビ番組」583,「家族等との会話」325,「学校の授業」279,「本・雑誌」265,「友人との会話」181の順であった。9)家庭科の授業に対する肯定的な回答は,「楽しい」は7割,「調理実習で作ったものを家で作った」は5割あったが,「自分の食生活が改善された」や「栄養バランスを考えた食事ができるようになった」は3割であった。「調理実習で作ったものを家で作った」は,中学生のほうが有意に高く,すべての項目で男子より女子のほうが有意に高かった。 〈まとめ〉「痩せ,痩せ気味」の体型であるにもかかわらず,「痩せたい」とする間違ったボディイメージを持つ者が多いことが分かった。健康や食に関する情報源として,テレビ番組や家族との会話を挙げる者が多く,家庭科の授業に対しては,「楽しかった」「調理実習で作ったもの家で作った」と回答しているが,学習が必ずしも生徒の食生活の改善に生かされていないことが明らかとなった。以上のことから,今後は,メディアから発信される情報についても授業で取り上げ,生徒が自分のボディイメージを正しく認識し,間違ったダイエットにより,健康被害を起こさないことや適切な食習慣の形成を目指した具体的な家庭科の食指導が重要であることが示唆された。 注)***p<0.001,**p<0.01,*p<0.05
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© 2010 日本家庭科教育学会
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