日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: B1-7
会議情報

口頭発表
高等学校家庭科における「食文化」の単元構想とその評価
日韓食文化 比較を教材として
*武岡 幸子
著者情報
キーワード: 食文化, 家庭科, 単元構想
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
高等学校「家庭」における「食文化」の単元構想  ~日韓食文化比較を教材として~ 兵庫県立尼崎高等学校 武岡幸子, 兵庫教育大学 増澤康男 _I_.研究の背景と目的 本研究では、学校教育において「食文化」をどのような視点で扱っているのかを整理し、「食文化」の基本となる考え方や内容を整理した。また、高等学校「家庭科」における「食文化」の単元を構想し、授業実践を通して、「食文化」の学習のありかたについて考察した。「食文化」の単元構想としては、日本と韓国の食文化比較を取り上げ、日韓の食文化を学び、日本と韓国の食の豊かさを知り、日韓の食文化の共通性や多様性を客観的に受け止めることで、相互理解、相互尊重を図ることを目的とした。 _II_.結果と考察 [1]「食文化」のとらえかたについて 本研究では、石毛、原田、河合らの文献をもとに、次の4つにまとめた。 _丸1_人間の食事の特徴を「共食すること」と「料理すること」の2点にあるとした。_丸2_文化接触の結果、食文化は融合・変容を繰り返しつつそれぞれの国々ごとにその歴史の中で独自の発展を遂げてきた。_丸3_「文化」を考察するときは、「歴史的に見ること」「比較してみること」が重要である。_丸4_「食文化」の学習のねらいは、他国の文化を理解し尊重する態度や、異なる文化を持つ人と共生できる資質や能力を身につけることと、自国の食文化に対する理解を深め、日本の食文化を将来にどのように継承していくのか考えることである。 [2]高等学校「家庭」における「食文化」学習内容 [1]の4つの視点に基づき、学習目標を立て、学習項目・学習内容を考えた。 1.食事の意義を考える。2.文化の伝播・融合・変容について考える。3.文化は比較して考える。4.日本の食文化の継承について考える。 [3]「日韓食文化比較」の授業で取り上げるべき学習内容の考察と授業実践・評価 [2]の3.「文化は比較して考える」について取り上げ、「日韓食文化交流」「食事に関するマナー日韓比較」をテーマとした授業を計画した。 (1)単元目標 _丸1_日本の文化は中国大陸や朝鮮半島の食文化と深くかかわってきたことを理解する。_丸2_日本と韓国の食文化の伝播・融合・変容について理解する。_丸3_日本と韓国の食の豊かさを知る。_丸4_日韓の食事に関するマナーにはそれぞれの国のどのような価値観が存在しているかを理解する。_丸5_日韓食文化の相違を比較し、食文化の多様性を客観的に認識することで、日本と韓国の食文化を正しく理解する。 (2)調査 高校生(兵庫県立尼崎高等学校第2学年約120名)と韓国の大学生(ソウル大学・テグ教育大学計52名)に対して、食に関する意識調査を実施した。 (3)授業内容 平成20年5月から6月にかけて兵庫県立尼崎高等学校第3学年選択科目「食文化」において7時間の授業を実施した。 (4)評価 アンケートや意識調査、レポート、定期考査、ワークシートを分析し、授業の評価を行った。 (5)考察と今後の課題 _丸1_「食文化」の学習においてはさまざまな知識が必要であり、特に、「歴史的な背景・交流」の理解を深める工夫が必要である。 _丸2_具体例により、「食文化の伝播・融合・変容」についての理解が深まった。調理実習を通して、体験的に理解することができた。 _丸3_生徒は日本と韓国は食材や調味料が豊富で調理法がたくさんあることを知った。_丸4_調べ学習により、食事のマナーからわかる日本人の価値観についての理解が深まった。_丸5_食べる姿にもその国独自の方法があり、それには根拠があるということについて理解が深まり、お互いの食文化を正しく理解することにつながった。 _III_.まとめ 本研究では、文献に基づき「食文化」のとらえ方をまとめ、高等学校「家庭」で「食文化」を扱うときの学習目標・内容を整理した。このうち「日韓食文化比較」を題材とする授業モデルを提示し、授業を実施し、一定の成果を収めた。ここでまとめた「食文化」の4つの視点は、高等学校「家庭」のみならず、他の教科・科目で「食文化」を扱うときにも応用できる。
著者関連情報
© 2010 日本家庭科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top