日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: B2-5
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口頭発表
家庭科教員養成において授業を分析的に見る方法の検討
*高木 幸子
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抄録
背景と目的
 中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」(平成20年)では、教育の質を保証するシステムの再構築にむけて「何を教えるか」から、「何ができるようになるか」に焦点をあてることが求められている。教師としての成長を視野に入れて教員養成段階を考えると、職務の中心である授業実践を支える知識や基本的な教授技術を身につけることが必要である。また、家庭科においては、生活環境を正しくとらえることや意思決定、価値判断などを含めて授業をよりよくする視点から課題を見出す力が求められているととらえることができる。そこで、本研究は、授業を分析的に見る目を付けるプログラムの開発を目的として、学生が教育実習で行った授業(一部、模擬授業含む)を省察する方法の検討を行う。
方法
1 開発プログラムの内容と実施対象
 本プログラムは,中等家庭科教育法4(後期に実施)を用いて、14名の大学3年次生を対象に行う。プログラムは児童生徒の学習状況をとらえる学習評価の視点と自分の行った授業の課題を見出す授業分析の視点を組み込んだ3つの内容で構成する。具体的には、基本的な学習評価の方法や分析方法に関する知識の理解を意図した内容(内容1)、共通の家庭科授業の事例を対象に評価問題・解答例を作成する演習(内容2)、教育実習(または模擬授業)で行った家庭科授業を対象に自己分析し省察する内容(内容3)である。
 以下、本報告に関連する内容3の部分のみ記述する。
2 授業を分析的に見る力が付いたか否かを評価する材料と規準
 評価材料には、学生が作成した授業の自己分析レポートを用いる。また、自分自身の授業を客体化して見直せているか否かの判断は、2つの規準(規準1:分析した事実に基づいて課題を見出すこと、規準2:自分の課題に正対した改善方策を考えられること)から、それぞれの実現状況を考察する。
結果と考察
1 学生が授業分析に用いた方法
 14名の学生が用いた分析方法は、発話分析(14名)、教授・学習行動分析(8名)、教材分析(ワークシートや資料)(7名)、学生が考えた方法(3名)であった。
2 自己分析レポートの記述レベル
(1)規準1の実現状況
 3段階で示した実現状況のレベルを基準に照らして分類した結果、13名の学生が分析した事実に基づいて課題を具体的に指摘すること(レベル3)ができていた。記述されていた主な課題は、教師が多く話しすぎていたこと、指示・説明が中心であったこと、教える知識の理解が不十分だったことなどであった。
(2)規準2の実現状況
 このように具体的な課題を抽出できていたにも関わらず、改善方策については、抽象度の高い言葉を用いて一般的な考えを記述し、自分の問題としてとらえるレベルまでいっていないものが見られた。
(3)考察と課題
 課題の指摘と改善方策を記述するレベルに差がみられたのは、見えている課題の要因を分析する力が不足していた結果が表れたものと推察する。本取組では、教育実習の授業(1時間)の全てを対象に省察することを課したが、今後は、学生が最も課題を感じた場面のみを対象として、教師と生徒との相互のかかわりを詳細に分析させる方法や学生間の相互協議を含めた方法についても検討をすすめる。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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