日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: B3-1
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口頭発表
家庭科住まい学習における環境教育
*妹尾 理子井口 真由美
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抄録
背景と目的<BR> 現代は、衣食住のあらゆる場面において科学技術の発展による恩恵を受け、便利で快適な生活をおくっている。一方で、深刻化する環境問題への対応が重視されるようになり、家庭科においても「環境に配慮した生活」が小・中・高校を通した学習テーマのひとつになっている。小学校における住まい学習においても環境の視点からの展開が望まれる。しかし、家庭科における環境学習の中には、快適な住まい方、ごみの減量や掃除の工夫などについて、生活の知恵を学び実践するといった体験的内容はみられるものの、高学年の学びとして、家庭科の授業が学び甲斐を感じられるものになっているのか、疑問を感じることもある。「習得」「活用」「探究」が重視されているなか、家庭科における授業の再検討が必要になっていると考える。<BR> そこで本研究では、家庭科の中でも実践研究が不十分であるとされる住まい学習における環境教育の方向性を探ることを目的としている。その際、先行授業実践から成果と課題を整理したうえで、その課題を克服するための教材および授業研究を行い、実際の授業実践を行って検討する。なお、本研究は主として小学校家庭科を対象として行うが、中学校についても考察の対象とする。<BR> 研究方法<BR> 1.小中学校における環境に配慮した住まい学習の授業実践および教材研究に関する報告・論文を収集し、そのねらいや内容について分析・考察する。<BR> 2.先行実践の考察結果をもとに、住まい学習として科学知を重視した授業の研究および教材開発を行う。<BR> 3.授業および教材研究の結果を生かし、開発教材を使用して実践した授業について検討を行う。<BR> 結果および考察<BR> 1.住まい学習において環境教育を行う先行実践をみると、生活の工夫や小物製作などが行われる傾向が強い。製作に子どもの意識が焦点化されてしまうことで、授業の本来のねらいが達成できないなどの問題点がみられる。今後は衣生活学習との関連をはかる学習が考えられるが、学習のねらいを絶えず意識して、授業を構想していくことが求められる<BR> 2.住まいの授業において、現状(問題)を把握(実感)する、問題解決(改善)の方向を探る、実践を行い検証する、結果を評価する、といった問題解決プロセスが重要になる。その中で科学知を重視した授業をつくることが大切になる。伝統的な暮らしの知恵を再認識し、同時にそれを現代に生かす方法を科学的に検証しその根拠を解説できるような力を育てることが必要になるだろう。それらは、社会科や理科での学習成果を応用することでもあり、活用する力を重視する近年の動きとも重なるものといえる。したがって他教科の学習内容の把握も大切になる。その際、小学生では理解が困難だが学んでいてほしい内容が出てくることもある。小学校と中学校の学習テーマを厳密に決めすぎず、子どもたちの実態や発達段階をふまえ、中学校でも小学校と同じテーマを科学的に深めるような学習も必要と考える。<BR> 3.先行事例や教材研究をもとに構想し実施した授業では、子どもたちが体験をもとに思考力や判断力、想像力を働かせて学んでいく生きた学習が可能になっていた。子どもたちが授業後に学習を振り返って書いた作文を分析すると、子どもたちの中に学びのプロセスが残っており、授業のねらいが達成できたことを示すものとなっていた。<BR> ※なお、本研究は、岡山市立中山小学校・三島千絵教諭、高松市立下笠居小学校・白川恵美子教諭から多大な協力を得たものである。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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