日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: P4
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ポスター発表
衣生活教育における生命・健康に関わる指導内容に関する一考察
*福田 典子
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抄録
厚生労働省の平成17年人口動態統計によると、国内における1歳から14歳までの子どもの死亡原因は不慮の事故死が第1位である。自動回転ドアやエレベータ、公園や家庭内の遊具による予想もしなかった痛ましい事故が発生し、子どもの安全を脅かしている。子どもの命、安全を守るためには事故を未然に防止することが何よりも重要である。事故は誰も予測できないが、避けられないものではなく、防ぐことができるものであると認識することの必要性が指摘されている。国の行政機関であり、2009年に発足した消費者庁では商品による事故の拡大防止の取り組みを強化する方向で取り組んでいる。しかしながら、近年、子どもが巻き込まれる死亡や重症等の重大事故が多数発生しており、社会的にも大きな問題となっている。これらの問題はわが国だけでなく、諸外国においても、子どもの事故防止は急務の課題として位置づけられている。これらの、事故情報を収集把握することはもちろんであるが、何よりも子ども達にそして保護者に対して子どもの安全確保を目的とした教育訓練を充実させる必要がある。また、学校教育においては、子どもの発達段階に応じて、子どもの生命・健康・安全に関する指導について複数の教科から横断的に協力し、教材開発や指導法開発をすべきではないかと考える。子どもの自らの安全を確保するために、安全確保に関する情報を通じて、危険を自ら予知・認識し、自ら危険性を判断し、回避する力を養うことが重要である。さらに、安全面での自立として、安全性の高い衣類を選択し、TPOに応じて安全性の高い着装方法を選ぶことのできる力を養いたい。ここでは特に衣生活教育の中で、具体的な事例を通して、その指導方法について考察した。そこで、本研究では、これらの事故例や問題例の資料をもとに、防止策や改善策の1つとして、指導内容の充実や改善に向けての見直しを行い、小学生や中学生を対象とした衣生活教育における生命・健康に関わる指導内容を検討し、提案することを試みた。  基礎資料として、平成19年4月に東京都生活文化スポーツ局より報告された平成18年度商品等の安全問題に関する協議会報告書「子ども用衣類の安全確保について」および、平成20年12月に厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室から報告された平成19年度「家庭用品等に係わる健康被害病院モニター報告」等を用いた。  衣類の安全確保についての資料より、上衣のパーツではフード、まち付きポケット等の保持性の高い部分の他の突出物への引っ掛かりによる危険性が報告されていた。留め具ではファスナーが、附属装着具では、引き紐による転倒、打撲、切傷が、装飾品では、スパンコールやビーズなどの誤飲、窒息、切傷などの危害事例の発生が明らかとなった。健康被害モニターの資料より、洗浄剤と漂白剤の混合による塩素ガス発生、防水スプレーの吸入や目への疾病などの危害事例の発生が明らかとなった。死亡事故はないものの、いずれも、健康被害の事例のあることが明らかとなった。  以上のことから、小学校・中学校家庭科衣生活領域において、着衣の点検や安全な着方・安全な衣類の手入れに関する指導の必要性を再確認するとともに、TPOに合わせて安全に配慮した着装計画や安全な手入れ計画に関して提案を行った。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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