抄録
目的
次期学習指導要領では、保育領域において保育体験が必修になる。また、「家庭総合」から「家庭基礎」に移行を進めている学校が増えており、従来の半分の時間で授業を行わなければならない。そのため、内容を精選することが大変重要となってくる。そこで、次期学習指導要領の「家庭基礎」における保育領域のカリキュラムを作成することを本研究の目的とする。
方法
保育体験を他県よりいち早く取り入れている兵庫県内の高等学校家庭科教員と保育のニーズを知るために保育園および幼稚園の保護者を対象に、高等学校「家庭基礎」における保育領域のカリキュラムについてのアンケート調査を行った。アンケート調査の設問1では、以下に示す10時間分の保育領域カリキュラム案を提示し、それぞれの学習内容について「とても重要である」の4点~「全く重要ではない」の1点までの4段階尺度で評価してもらった。
1.親になる過程(1h)
2.親の役割(1h)
3.子どもの心身の発達と特徴(1h)
4.子どもの生活と遊び(3h)
(1)乳幼児の生活習慣 (2)子どもの家庭内事故 (3)子どもの遊び
5.子どもに会いに行こう(2h)
6.子育て支援を学ぶ(2h)
(1)子どもを取り巻く社会の現状 (2)子どもの権利や福祉サービス
結果
高等学校家庭科教員に保育領域のカリキュラムについて4段階で評価してもらったところ、「2.親の役割」(3.57)、「1.親になる過程」(3.50)および「5.子どもに会いに行こう」(3.47)の順で平均値が高かった。一方、「6(2).子どもの権利や福祉サービス」(2.99)、「6(1).子どもを取り巻く社会の現状」(3.18)、「4(1).乳幼児期の生活習慣」(3.25)および「4(2).子どもの家庭内事故」(3.25)については平均値が低かった。
保育園と幼稚園の保護者に保育領域のカリキュラムについて4段階で評価してもらった。保育園の保護者と幼稚園の保護者の結果に有意差がなかったことから、両データを乳幼児の保護者と扱うこととした。分析の結果、「2.親の役割」(3.57)、「1.親になる過程」(3.50)および「5.子どもに会いに行こう」(3.47)の順で平均値が高かった。これらの結果は家庭科教員とほぼ同じである。一方「6(2).子どもの権利や福祉サービス」(3.04)、「4(1).乳幼児期の生活習慣」(3.10)および「4(3).子どもにとっての遊び」(3.16)の順で平均値が低かった。
さらに、高等学校家庭科教員と乳幼児の保護者について結果を比較した。この結果から、保護者は高等学校家庭科教員と較べて「1.親になる過程」(p<0.05)への評価が有意に高く、保護者は家庭科教師よりもこの項目を重要視していることがわかった。逆に「3.子どもの心身の発達と特徴」(p<0.05)、「4(1).乳幼児期の生活習慣」(p<0.05)、および「4(3).子どもにとっての遊び」(p<0.01)に関して有意に評価が低いという特徴が見られた。
まとめ
高等学校家庭科教員と保育園および幼稚園の保護者の意見を総合すると、最初に提示した保育領域のカリキュラムの、「1.親になる過程」、「2.親の役割」および「5.子どもに会いに行こう」の学習内容を充実させ、「4(1).乳幼児期の生活習慣」および「6(2)子どもの権利や福祉サービス」などの学習内容を縮小するなどカリキュラムを改編する必要があると考えられる。