第四紀研究
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論説
静岡県伊東市のボーリングコアから復元した6,300〜2,000BCの相対的海水準変動
藤原 治入月 俊明大林 厳平川 一臣長谷川 四郎内田 淳一阿部 恒平
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2014 年 53 巻 1 号 p. 35-53

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抄録

伊豆半島北東岸の静岡県伊東市における6,300BCから2,000BCにかけての相対的海水準変動を,ボーリングデータを用いて復元した.相対的海水準は,当時の海底の標高を示す堆積曲線と古水深のデータを総合して推定した.堆積曲線はコアIT-1(30m)とコアIT-2(10m)について合計37個のAMSによる14C年代測定値を使って作成した.古水深は,コアIT-1,IT-2の堆積相と貝形虫化石および貝化石の解析結果から復元した.堆積相の解析には,既存のボーリングコア(合計23本)と14C年代測定値も参考にした.これらのデータから,合計6つの海面高度のコントロールポイントが得られた.復元された相対的海水準変動曲線からは以下のことが推定される.海面高度は6,300BC頃には−16m付近にあり,5,900BC頃には−13m付近まで上昇した.完新世の最高海面期は4,800BC頃に認められ,現在よりも約3〜4m海面が高かった.海面高度は4,600BC頃には+1.5m,2,900BC頃には+1mとなり,2,000BC頃には現在とほぼ同じになった.本研究で復元された6,300BC〜4,800BCの相対的海水準上昇量は,地殻上下変動が小さい地域に比べて10m以上大きい.このことは,調査地域周辺でのローカルな地殻上下変動を反映しているのかもしれない.

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© 2014 日本第四紀学会
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