日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: 2-2
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口頭発表
生活文化を通して実践力を育成する小学校家庭科の授業開発
*御殿谷 千春志村 結美
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抄録
【目的】 近年、核家族化、少子高齢化などの社会環境の変化により、地域や家庭の人間関係が希薄になったと言われている。また、子どもたちの生活体験が減少し、生活を身近なものとして捉え、生活に興味・関心を持って、自らの力で主体的に創造していこうとする意欲と実践力が低下してきているとの報告もなされている。それと同時に、グローバル化する社会の中で、国や環境が異なる人を理解し、共に生活していくためには、自分の国や地域の伝統や文化についての理解を深め、尊重する態度を身に付けることが重要であると言われている。以上を踏まえて、中央教育審議会答申(2008)では、教育内容に関する主な改善事項として「伝統や文化に関する教育の充実」が謳われ、学習指導要領(2008)において、各教科で、その充実が図られることとなった。家庭科では衣食住にわたって伝統的な生活文化に親しみ、その継承と発展に寄与することが明示された。家庭科教育は、日常生活の営みである生活文化に目を向け、その歴史あるいは先人の知恵や技術を理解し主体的に生活をとらえることで、新たな生活文化を創造し生活をより豊かにしようとする心を育むという役割を担う必要がある。
 そこで、本研究では、小学校家庭科において伝統的な生活文化を通して、生活を身近なものとしてとらえ、学習内容を生活に生かすことのできる実践力を育成する、小学校家庭科の授業開発を目的とする。

【方法】 山梨県と静岡県に在籍する、小学校406校の家庭科担当教諭を対象に郵送にてアンケート調査を行った。有効回収数は山梨県87名、静岡県59名、計146名であり、有効回収率は36.0%であった。 また、アンケート調査を基に、家庭科教育に関心の高い教員6名を選出し電話によるインタビュー調査を行った。調査期間は2009年8月下旬から2010年1月上旬である。調査内容は、生活文化に関する授業等の実践状況、生活文化に関する教員の認識、現代の教育に関する教員の認識である。

【結果及び考察】 食,衣,住,消・環・家庭生活の各領域と、米飯・みそ汁について、2社の小学校家庭科教科書を基に、生活文化に関する項目を設定し回答を求めたところ、米飯とみそ汁に関する授業の実践は、ほとんどの教員が行っていることが明らかとなった。また、生活文化に関する教育内容を81.5%の教員は必要と感じていることが認められた。子どもに培いたい生活文化に関する能力として家庭科の教育目標の一つである「衣食住に関する基礎的能力」が最も回答が多く認められた一方で、「新しい文化を創造する力」は最も少ない結果となった。
 以上のアンケート調査とインタビュー調査等の結果等から、生活文化を通して実践力を育成する上で必要な項目として「生活体験の欠如」「生活課題の発見」「具体的な生活の意識付け」「基礎・基本の定着」「生活に生かす能力」「家庭との連携」の6つの重要項目を抽出した。そのうち「生活体験の欠如」を除く5つをカリキュラム作成上のキーワードとし、全単元においてキーワードに関する内容を実践できるようカリキュラムを作成した。
 また、カリキュラム作成の理論的背景として、_丸1_キーワードにそった単元設定_丸2_日本の四季を感じる生活の視点_丸3_伝統的な生活文化に関する内容_丸4_新しい生活文化を創造する視点_丸5_地域教材の活用_丸6_発達・成長に合わせた単元の順序性_丸7_消費・環境の内容と他領域の関連性_丸8_児童の学習意欲を湧かせるための工夫_丸9_他の教育活動との連携を掲げ、2年間のカリキュラムを作成した。
 今後は、授業実践による本研究の妥当性の検証等を実践していく予定である。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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