日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: A3-8
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第55回大会:口頭発表
家庭科推奨CM制作による学びの終結からガイダンスをつなぐ試み
第6学年児童から新5学年児童へのメッセージ
*堀内 かおる種村 由紀
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抄録
<目的>平成20年改訂の小学校学習指導要領が平成23年度に完全実施となった。このたびの改訂では、新たに「ガイダンス的な内容」が導入され、第5学年の最初に学習させることとなった。この「ガイダンス」は、第4学年までの様々な学びを振り返り、これから始まる2ヶ年にわたる家庭科の学習を展望する、家庭科の授業開きとして極めて重要な位置を占めている。
 他方、2ヶ年にわたる家庭科学習のまとめとして、最終題材にどのような学習を位置づけるかは、非常に重要である。「ガイダンス」でスタートした小学校家庭科の終結として、子どもたちの学びの履歴を総括するような、意義深い題材設定が望まれる。 そこで本研究では、第6学年児童が小学校家庭科の2ヶ年にわたる一連の学習を振り返り、自分たちが学んできた家庭科を紹介するプロモーションCMを作成するという課題を設定し授業を実施した。プロモーションCMには、子どもたちが家庭科を学習して印象に残っていることを取り上げるようにし、第6学年児童がこれから家庭科を学ぶ新5学年児童に対し、家庭科に関して伝えたいメッセージを込めて、CM全体のストーリーを考えるように促した。  
 CM制作を授業に導入する試みとしては、先行事例として平成18年度から開始された電通による「広告小学校」プロジェクトがある。本研究では、同プロジェクトを参考にするとともに、以下の2点で差別化を図った。第1に、CM制作の目的である。本研究では、コミュニケーション力の育成を直接的な目的とするのではなく、あくまでも家庭科学習の総括として、子どもたち自身が家庭科への思いを表現する点を重視した。このCM制作による表現を伴う言語活動を家庭科の最終題材に位置付け、家庭科の学びをCM制作という活動によって総括することによって、そのCMはおのずと児童にとっての家庭科学習がどのように受け止められているのかということを反映したものになる。第2に、CMは子どもたちの手による家庭科のガイダンスとなることを想定して制作された点があげられる。完成したCMは、平成24年4月に新5学年となる、第4学年児童に上映し、家庭科学習の動機づけとして活用した。家庭科についてのプロモーションCMを制作し新5学年児童に向けて上映することを家庭科のまとめとガイダンスへの一連の学びととらえ、その学習効果について検討することを本研究の目的とする。
<方法>国立大学附属Y小学校第6学年の1クラスを対象として、家庭科の授業時間を中心に家庭科を推奨するCMの制作に取り組んだ。かかった時間は合計9時間、41名の児童を5班に分け、グループごとに1つのCMを制作した。制作にあたり、著作権についても説明し、CMの内容はオリジナルなものにするよう指示した。時間配当の授業過程の録画記録、ワークシートの記述、児童の考えたCMプロット、完成したCMを分析資料として、第6学年児童の家庭科の総括として本授業の有効性を考察した。
<結果と考察>5つの班の中で4つの班が家庭科の中でも食の分野に特定したCMを作成していた。このことは、2年間の家庭科学習において、食に関する内容が特に印象深くとらえられていたことを示唆している。CMの内容にも共通性がみられ、第5学年当初では「できなかった調理」が上手にできるようになったこと、その背景には教師の注意を聴いて、安全に留意し作業を進めることが重要である点が指摘されていた。 児童たちの考えた家庭科プロモーションCMを視聴した第4学年児童たちは、家庭科では調理実習が行われ、調理技能の習得が図られると理解したようであった。しかし半面、家庭科における調理実習が象徴的に取り上げられたために、家庭科の教科イメージと調理が強固に結びつけられることになった。
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© 2012 日本家庭科教育学会
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