日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: A1-5
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第55回大会:口頭発表
食育劇による児童の意識・行動変容
*森山 三千江本山 ひふみ
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キーワード: 食育劇, 児童, 行動
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抄録
【目的】生活習慣病発症の低年齢化や食習慣の乱れから生じる心身の発達に及ぼす影響などが報告されるようになり、子どもに対する食育が盛んに行われるようになっている。しかし、食事は生活習慣の一部であることから、多様化する社会における保護者の社会層や雇用形態により食に対する意識も様々であり、学校教育における食育がどれほど子どもの食習慣の影響を与えるのか様々な意見が交わされている。食習慣の身に付く低年齢層での食育は必要であるが、低年齢の児童には高学年と同じような食育の手法を用いても、言語能力の違いから文字や言葉の理解力が低く、教育の効果を高学年と同じように得る事は難しいと考えられる。そこで、本研究では低年齢層にも効果的な食育手法としてキャラクターによる食育劇を用い、食習慣に関する意識、行動面での変化があるかを追跡し、低年齢層に効果的な食育の手法を検討することを目的とした。 【方法】知立市立知立西小学校1年生137名を対象として日常の食事内容・習慣および野菜に対する嗜好を中心とした14項目からなる質問紙調査を行った。なお、対象が1年生であることからひらがなを読み書きする力が付いたとする10月から12月にかけて本研究の調査を行った。その後、キャラクターを用いた「食まるファイブ」による『野菜嫌い克服』、『朝食欠食による体調不良』をそれぞれ題材とした食育劇を二回行った。二度の劇後に事前に行った調査と同じ項目の質問紙調査を行い、その結果から食育劇の前後における児童の意識・行動の変化を分析し、低年齢化する生活習慣病に対しこの手法の食育活動がどのような効果をもたらすのかを検討した。 【結果および考察】食育劇の前後では、劇後に朝食を摂取する児童は増加傾向にあり、殆ど食べないと答えた児童は劇後では0となり、朝食摂取の大切さを題材とした劇の効果とも考えられた。朝食の内容は手のかからない主食を食べる傾向が見られたものの野菜や果物など多様な食材が摂取されており、バランスの取れた食事を児童が摂る事を日常から心がけている事がうかがえた。朝食を家族全員で食べる、給食を残さず食べるといった項目では劇後に増加傾向を示した。好きな野菜・嫌いな野菜についての項目では男子、女子ともに劇後に野菜全体で好きという答えが増加したが、男子と女子を比較すると女子の方が好きな野菜を多く答えており、全体に女子の方が野菜を数多く食べていると考えられた。個別の野菜で見ると劇後ににんじん、大根、ジャガ芋、グリーンピース、しいたけを好きと答えた児童が有意に増加し、その他の野菜についても好きと答えた児童が増加傾向にあった。また、食べる時の噛み方も良くかんで食べると答えた児童が増加したが、起床時刻などの項目では有意差は見られなかった。このことから、低年齢である児童が敬遠しがちな野菜が食育による意識の変化から増えたと考えられた。また、朝食を家族全員で食べる、家族の誰かと食べる、一人で食べると答えた児童と野菜の好き嫌いの関連を見ると男子では朝食を一人で食べる児童で劇後に野菜を好きと答えた児童が増加し、女子では家族の誰かと食べると答えた児童で野菜を好きと答えた児童が増加した。このことから家族全員で朝食を取ることを心がけている家庭の児童では正しい食習慣は家庭教育で身に付く可能性が高いが、幼少期より朝食が家族全員揃わない家庭の児童に対してこのキャラクターを用いた劇による学校場面での食育活動には一定の効果があると考えられた。
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© 2012 日本家庭科教育学会
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