日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: P02
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第55回大会:ポスター発表
染色教材化のための天然染料の削減が後媒染染色布の色に与える影響
*駒津 順子小松 恵美子森田 みゆき
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キーワード: 家庭科, 染色, 教材, 天然染料, 削減
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抄録
目的 家庭科における天然染料をもちいた染色教材の開発を行っている.これまで,食品廃材である玉ねぎ外皮を使い,高等学校において1単位時間(50分)で多人数を対象とし,教師が1人で行う染色条件を最適化し1),授業実践をとおして染色の技術的な改善を行った2).この中で,染料の大量確保が困難であるという天然染料を使う染色教材の課題には,染色液の調製法を変化させ染色材料を減量化した.この染色布は,目視では差がみられなかったため授業実践を行ってきた.そこで本研究では,天然染料の使用量の減量化が,後媒染した染色布の色に与える影響について検討した.
方法 色素の抽出は,最初に玉ねぎ外皮0.6gに水30mlを基本として抽出した「1番液」,その後再抽出した「2番液」,未抽出の染色材料と,1回抽出後の染色材料を乾燥時の重量比が1対1となるように配合し抽出した「混合液」の3種類とした.染色液の利用方法は,色素抽出直後の「初回液」,初回液に加水し浴比調製した「2回液」の2種類とした.保存は,染色液の冷蔵(5℃)と,1番液を抽出した後の染色材料の冷凍(-18℃)について,それぞれ2週間保存した場合の影響を検討した.
 染色布は,JIS染色堅牢度試験用JIS L0803準拠の綿布を使用した.染色布の測色には,日本電色製スペクトロフォトメーターNF333を使用して,表面反射率を測定し,CIE L*a*b*表色系による色変化を調べた.
結果 授業実践に即した染色液の調製について,色素の抽出,染色液の利用方法,染色液や染色材料の保存方法から検討した.最初に色素を抽出した1番液を標準の染色液の条件で染色したもの(1N)と,他の9条件の染色布と比較した.後媒染は,Fe,Al,Kを用いて未媒染(UM)と比較した.表面反射率は,すべての媒染およびUMで,それぞれの1Nとほぼ同様のスペクトルを示しながら増加した.反射率曲線は,初回液の冷蔵保存(1R)が1Nとほぼ一致した.また,表面反射率は,すべての波長において1Nに次いで1Rが最も低く,2回液(3N)が最も高い値となった.L*値は,すべての媒染およびUMで1Rが最も低く,逆に3N,混合液の2回液(5N)が高かった.保存による影響は混合液の2回液で比較した結果,染色液の条件は,保存しないもの(5N)よりも,再抽出の染色材料を冷凍したもの(5F)の方がL*値は低くなり,再抽出の染色材料を冷凍した染色液の濃色効果がみられた.媒染剤の比較では,1NからのL*値の増加率はFeが最大で13%程度,Al,K,UMは7%程度となり,全体的に大きな変化はみられなかった.a*値は,Al,K,UMは減少する傾向がみられ,染色液の条件では3N,媒染はKがそれぞれ最も減少した.Feはいずれの条件もほとんど変化しなかった.b*値は,すべての媒染,染色液の条件において,1Nよりわずかに減少するが,ほとんど変化がみられなかった.
 以上のことから,表面反射率は濃色と淡色で10%の差はあったが,同一染色液での2回染色,同一染色材料からの2度抽出,それぞれの染色液の冷蔵保存,再抽出前の染色材料の冷蔵保存による色の変化は,目視的にはわずかの差であり,十分に授業実践に耐えうる結果となり,染色教材として有効であることが明らかとなった.これにより,標準の染色液の条件に対して,同一染色材料からの2度抽出と初回抽出との混合液を2回使用することで,染色材料の使用量を4分の1(25%)に減量することが可能となった.
引用 (1)駒津順子,小松恵美子,森田みゆき,高等学校家庭科の染色教材開発-1単位時間で行う玉ねぎ外皮染色-,家政誌. 2012, vol.63, no.3, p.133-141,(2)駒津順子,小松恵美子,森田みゆき,日本家政学会第64回大会研究発表要旨集,印刷中(2012)
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© 2012 日本家庭科教育学会
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