日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: P01
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第55回大会:ポスター発表
技術・家庭科における小物づくりと機械づくりの関連と連携
家庭分野「布を用いた物の製作」と技術分野「製作品の設計・製作」に注目して
*福田 典子
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抄録
【目的】技術・家庭科の目標の中に、進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てると示されている。家庭分野の指導内容は、4つの内容から構成され、布を用いた物の製作は衣生活の自立に位置づけられている。一方、技術分野においても4つの内容から構成され、「製作品の設計・製作」が材料と加工に関する技術とエネルギー変換に関する技術のいずれにおいても扱われている。また、平成20年度新CSの改善の具体的事項においては、家庭分野においても技術分野においても、他教科等との関連を明確にし、連携を図ることが明示されている。そこで、本研究では、被服の小物づくりと機械のロボットづくりの関連と連携に注目した。大学生を対象とした実践を通して、創造的な製作学習に対する両指導者間の相互理解と連携の可能性を検討した。両分野の指導者がこの視点を反映した教材開発を行い、中学生向けの授業づくりを進めるための成果や課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】学習指導要領における家庭分野に関して、「衣生活の自立」での「製作」の取り扱いと技術分野に関して、機械づくりと関係の深い「材料・加工」および「エネルギー変換」での「製作」の取り扱いを調査し、その内容的な関連と指導上の連携の可能性を検討した。実践対象は、S大学教育学部3年次であった。実践時期は、平成21~22年度であった。いずれも前期の授業のうち後半の約6回の製作と他の大学生への製作品のプレゼンテーション1回と就学前の子どもたちへの現地公演1回の構成で実践を行なった。実践内容は、布を用いた人形の外装製作班と骨格製作・操作班に分かれ、主に人形ロボット等を製作した。外装製作班はヘッドや衣装や小道具の製作を担当した。主材として糸・布・繊維を、副材として、紙・テープ・モール等を用いて製作した。骨格製作・操作班はプラスチック・金属・発泡材を主材としたモータロボットの製作と調整、さらに上演中の人形ロボットの操作を担当した。1年目は幼稚園で、年少から年長まですべての年齢を対象とした約50名の園児向けの約30分の演目を作成し、7月下旬に上演した。これは昔話の浦島太郎と桃太郎のストーリーを土台とした創作劇であった。2年目は保育園で約40名の年中児を対象としたゴミをゴミ箱に捨てよう約30分のESD創作劇の演目を作成し、12月下旬に上演した。
【結果】学習指導要領における取り扱いを調査したところ、家庭分野の布・糸・繊維等を素材とした小物のづくりと技術分野のプラスチックや金属を素材とした機械づくりには、大変に多くの共通点を見出すとともに、その創造的製作学習において連携の可能性を見出すことができた。幼児教育施設内での公演を目標に設定した人形ロボットおよび大道具・小道具の製作は、学生たちにとって目標をとらえやすく具体的でわかりやすく、楽しみながら取り組んでいる様子がうかがえた。また、表層部製作調整と骨組み・制御部製作調整の双方の立場から意見交換をしながら、双方が調整を繰り返すステップが幾つかの場面で観察された。表層部製作調整を担当した学生は、骨組みや動的機構の製作制御調整力に感心し、一方骨組みや動的機構製作を担当した学生は、顔面表情や衣装や小道具の製作調整力に感心しているように観察された。各担当部から双方の意見交換をしながら、作品の静的・動的完成度を高めていく手ごたえを感じ、両者が製作意欲を高めていったようであった。公演中の幼児の反応も大変に良く、創作劇に集中して見入っていた。1年目は幼児が歓声を上げて楽しむ様子や演目終了後には人形操作の順番をめぐって泣き出す園児も現れた。本実践の成果としては、小物づくりが人形玩具(機械)づくりの衣装や小道具づくりへと繋がる実践としての可能性を見出すことができたことである。課題としては、製作学習活動の前後や製作学習活動の有無による学習者に対する知識・技能・態度変容や差の詳細測定を行うまでには至らなかったので活動内容の充実計画を計るとともにより適切な効果測定法を検討したい。 
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© 2012 日本家庭科教育学会
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