日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第56回大会・2013例会
セッションID: A4-7
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56回大会:口頭発表
小中学校家庭科「洗う」の検討
*潮田 ひとみ赤松 純子今村 律子與倉 弘子深沢 太香子山田 由佳子
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抄録
1.目的
 日本家庭科教育学会第55回大会にて,発表者らは,小学校家庭科教科書に記されている「洗う・洗浄」について,衣生活だけでなく,小学校家庭科全般での記載について被服管理学の視点から精査した結果,学習の順序性が考慮されていないこと,内容について学習者に誤解を生じさせる記載があることを指摘し,洗浄・洗うことに関する系統的学習の必要性を述べた.
 今回は,小・中学校の学習指導要領ならびに家庭科教科書の記載内容の検討を衣生活領域だけでなく,食・住生活領域に広げ,「洗う・洗浄」に関する記載内容を省察し,被服管理学の視点を加えることによって,洗浄に関する系統的学習を提案することを目的とする.

2
.方法
 小学校および中学校の新学習指導要領解説と2011年度から使用されている2社の小学校家庭科教科書,ならびに2012年度から使用されている3社の中学校家庭科教科書の内容と洗浄に関する記載を省察した.
 次に指導要領と家庭科教科書の記載内容の省察により,系統的学習がなされていないと推測された内容を中心とする,洗浄に関するテスト問題を含んだ洗浄に関するアンケートを実施した.

3
.結果及び考察
(1)小中の学習指導要領解説・家庭科教科書の「洗う」学習に関する記載内容の比較
 小中の学習指導要領解説の記載内容について問題点を指摘する.
 第1の問題点は,従来から指摘している事項であるが,品質表示に示された「手洗い」と学習指導要領解説で定義する「手洗い」とが異なることである.学習指導要領で定義される手洗いは,電気洗濯機の中で行われている工程を実践するというものである.
 第2の問題点としては,小学校学習指導要領解説「C 快適な衣服と住まい- (2)ア住まい方に関心をもって,整理・整頓や清掃の仕方が分かり工夫できること」の内容に「清掃の指導に当たっては,例えば,学校内での汚れ調べの活動などを通して,汚れの種類や汚れ方に応じた清掃の仕方を考え,身につけるようにするとともに,汚れは時間が経つと落ちにくくなることや,住居用洗剤は使い方の表示をよく見て使用する必要があることなどにも気づくように配慮する.」とあるが,中学校学習指導要領解説では,「C 衣生活・住生活と自立-(2)イ家族の安全を考えた室内環境の整え方を知り,快適な住まい方を工夫できること.」の内容「室内の安全については,自然災害を含む家庭内の事故やその原因について考え,災害への備えや事故の防ぎ方などの安全管理の方法が分かり,安全な住まい方の工夫ができるようにする.」となり,整理・整頓や清掃の仕方については,記載がない.
 更に,この2領域の記載内容を比較すると,住生活では,小学校にて,「汚れの種類や汚れ方に応じた清掃の仕方を考え」とあり,衣生活では,中学校にて,「衣服の材料や汚れ方に応じた洗い方が分かるようにする.」とある.これを第3の問題点として挙げたい.
(2)「洗う・洗浄」に関するアンケート
 これらの3つの問題点を考慮した上で,「洗う・洗浄」に関するアンケートを小学校教員養成課程に所属する大学生に対して実施した.アンケートでは,小学校・中学校・高等学校での「洗う・洗浄」に関する実習・実験経験とその内容,小学校の学習における「洗う・洗浄学習の有用性」,「洗う」に関する知識について調査した.アンケートは集合調査法により, 181名に対して実施した.回収率は100%である.
 その結果,「洗う」学習は,生活の中で重要な項目であり,自立につながる学習であると考えられていることが分かった.しかし,品質表示の手洗いマークの意味に関する正答率は39%,住居用洗剤の使い方に関する正答率は6.6%と低く,系統的学習の必要性が示された.
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© 2013 日本家庭科教育学会
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