日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P02
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第57回大会:ポスター発表
学童保育における生活実態を踏まえた小学校家庭科学習指導計画のあり方に関する研究
*松本 歩子
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キーワード: 学童保育, 生活, 小学校
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抄録
【目的】学童保育は「遊び・生活の場」として位置付けられ、子どもの生活全体を安定的に維持する中で、子ども一人ひとりと子どもの集団全体の生活内容を豊かにすることが求められている。低学年児童においては長期休業なども考慮すると学校よりも過ごす時間が長い場所とも言われる。しかし、学童保育のうち4割は小学校の敷地外にある施設であり、また同敷地内にあっても、勤務体制や管轄が異なるため密な関わりを取らない場合も多く、教員が学童保育での子どもたちの一連の活動を正確に理解しているとは言い難い。学童保育では日々の活動の中で様々な生活体験の場が設定されていることも多いが、単なる遊び場という捉えられ方をしているものも少なくないと考えられる。 家庭科学習指導計画を立てる際には、「学習指導を効果的に進め、学習目標を達成させるために、学習指導計画が子どもの実態を反映したものであるか前もって診断しておく必要がある」と言われ、学校や家庭での生活経験等を確認することも重要だとされている。しかし、女性の社会進出や核家族化の進行に伴い今後、留守家庭児童が過半数を占める新たな時代が訪れる中、今後は学校や家庭での実態だけでなく、学童保育での実態も視野に入れることが望まれる。 よって本研究では、「学童保育における生活実態」を明らかにし、今後の小学校家庭科学習指導計画を検討する上で新たな視点となりうるかを検証することを目的とする。
【方法】文献調査及び、1~6年生までの児童を対象とした学童保育所で運営主体が異なる(公、運営委員会、NPO、父母会)4施設の指導員に対するヒアリング調査及び観察調査を行った。なお、子どもたちがどのような生活体験を行っているかを把握するため、「平日の生活」、「土曜・長期休業時の生活」「行事での取組」という3段階から調査を行った。
【結果】各学童保育施設によって活動実態に様々な差はあるものの、「平日の生活」においては、日々の生活の流れが確立されており、子どもたちもその生活時間に従って活動を展開していた(A)。学童に来ると過ごしやすいよう服を着替えたり(C)、おやつの時間には、役割分担を決めおやつを配膳したり、テーブルを拭いたり(C)と異年齢の児童が協力して準備をすること、一緒に食事を楽しむこと、片づけも自分たちで行うことが習慣とされていた(A)。また、自分が遊んだ道具は自ら片づけること、自分たちの居場所を快適に保てるよう意識している様子が伺えた(C)。「土・長期休業時の生活」においては、指導員が子どもたちの意見を尊重しながら1日の生活時間を組み立て、勉強や休息の時間をうまく組み合わせて生活している様子(A)や、食事やおやつに関する提案を行い調理する活動(B)を行っている様子などが把握された。「行事での取組」ではキャンプを企画し、キャンプ生活の仕事を分担したり、指導員の先生や保護者とともに地域のバザーを企画・運営したり、地域のゴミ拾い、空き缶収集を行っている活動(A)(D)なども見られた。父母会営の事例では、お小遣いを渡し、定期的に学童保育のお店屋さんを出し、買い物ごっこを楽しみながら小遣い帳をつけるような消費者教育的活動もみられた(D)。以上を踏まえると、学童保育での生活では小学校家庭科の4つの内容につながる経験が、多数実施されていることが把握された。
【考察】学童保育は地域によって実態も様々であるが、生活の場を意識した指導員の下、1年生のころから様々な経験を積んでいる児童がたくさん存在する場であるといえるだろう。今後、小学校家庭科教育の学習指導においても学童保育での児童経験を引き出すこと、事例としてあげること、経験豊かな学童保育児童を核とした取り組みを行うことなど、指導計画に反映させることも可能ではないかと考えられる。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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