日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P09
会議情報

第57回大会:ポスター発表
大学の調理実習における問題解決的な取り組みに関する研究
学びの変容の観点から
*畦 五月
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
目的 調理実習は小中高校のカリキュラムに位置付けられ、一般的な授業方法として指導者が提示した献立を共同作業で作る手法が用いられるが、本報告では指導者提示の課題に対して学習者が課題に適した献立を考え実習する問題解決的な手法を大学での実習に導入した。調理実習へ問題解決的な取り組みを導入した場合の、個々の学びの変容とともに問題解決学習へ向けた意欲を個々の学生同志のつながりや成長から明らかにすることを目的とする。
方法 広島県内B大学の2年生52人で、「子どもの食と栄養」の講義を終了し、同実習を受講する者を調査対象とした(調査期間2013年10月と2014年2月)。実習は幼児のための献立作成を目的としているが、加えて対象が班で献立を作成し、食材を購入し目的にあった料理を作るという一連の作業を対象自身がデザインすることも指導者としては目標とした。授業1回目と授業終了時にアンケートを配布して、その場で記入し回収する方式をとり、その回答内容は成績には影響しないことを口頭と文面双方で伝えた。  
調査内容は1.居住形態、2.実習前後の料理頻度と料理への関心、3.実習課題に対する試行錯誤の取り組みについて経済産業省による『社会人基礎力』(『アクション』『チームワーク』『考え抜く力』)の概念を基に作成した19項目、この他に『学修への取り組み』に関する4項目(「知的充足度評価」「自主的取組み」「意欲度評価」「興味・関心度評価」)と『班員との連携』7項目を回答させた。さらに毎回の実習作品に対して、自己評価と教員評価を行うとともに、ノートの提出を義務づけこれを個々の「学びの日誌」として捉えた。
結果
対象の属性は自宅生31%、単独69%、男性8%、女性92%であった。対象の居住形態と実習前料理頻度及び実習前料理関心度は有意であったが、実習後には有意な差は認められなかった。
調理実習に問題解決的な学修を導入した場合、対象の学修に対する意気込みの拡大と意欲向上が図られ、『学修への取り組み』に関する3項目(「知的充足度評価」「意欲度評価」「興味・関心度評価」)においていずれも3.7以上の点数を示し高い肯定的な傾向を示した(4点満点中)。特に意欲は"学び"の深さやその成長に重要な因子となるが、本調査指標の「意欲度評価」は対象の「知的充足度評価」、「自主的取組み」、「興味・関心度評価」と有意に関連した(p<0.01)。 先に「意欲度評価」は、班員との関わりやつながりとも関連することが推察されたので、本報では班員とのつながりや学び、成長した様子を評価する尺度として『社会人基礎力』の項目を使用し検討した。
その結果対象の「意欲度評価」は、『アクション』『チームワーク』の因子に有意に関連した。しかし『考え抜く力』との関連は認められなかった。さらに『班員との連携』因子の「期待認識」「貢献認識」「連帯感」「貢献度」の4項目とも有意性を示したが、「責任感」や「仕事の公平性」の項目では有意性は認められなかった。 学びの日誌として課した「ノートの役立ち感」も「意欲度評価」と有意な関係を示した。毎時間の自己評価と教員評価は、実習回数従い上昇し、両者には相関係数0.64の高い相関関係が認められた。
調理実習に問題解決学習を導入することにより、対象の学びの変容とともに学修への意欲的な取り組みがみられたが、その過程で班員の存在と彼らとの連携が重要であることが明らかになった。
著者関連情報
© 2014 日本家庭科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top