日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P24
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第57回大会:ポスター発表
消費者教育の教材開発
「インターネットでひろがる消費文化」の冊子教材
*大本 久美子鈴木 真由子奥谷 めぐみ
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抄録
【問題の所在と研究目的】
   近年、オンラインゲームをめぐる未成年のトラブルが急増している。電子マネーと現実のお金の区別がつかなくなったり、ゲームに夢中になって睡眠時間が減少し、健康を害したりするなど、オンラインゲームが未成年の子どもに与える経済的、身体的影響は大きい。
 また、オンラインゲームだけではなくインターネットを介してマンガやアニメ、音楽などに接触する機会も増え、消費欲求が掻き立てられやすい環境にある。ネットオークションや掲示板などを通じて、個人間の情報交換、取引も容易となり、ネットショッピングにおけるトラブルなども増加している。
  パソコンや携帯電話(以下、ケータイ)、スマートフォン(以下、スマホ)、などが子どもたちの身近な「便利な道具」となった。それらを主体的にスマートに使いこなせる知識や技術を身につける必要がある。さらに生涯にわたり、トラブルの「被害者」にも「加害者」にもならないような学習機会が求められている。
  そこで本研究では、消費文化を「ゲームや音楽、マンガのような商品やサービスに関する文化」と定義し、インターネットを介して、中高校生が直面している消費文化の具体事例を用いてトラブルの背景にある問題に向き合うための教材冊子を開発した。

 【教材の特徴】
  本冊子は、トラブルに遭わないための予防知識を伝達するだけではない教材を目指した。自分自身の生活を振り返り、実態を客観的に把握するためのセルフチェックとグラフの読み取り学習に始まり、身近なインターネットサービスの規約を例に、その内容を確認し、「契約」の意味を考えるという流れになっている。
 具体的なトラブル事例の解決策はワークシート形式で段階的に考えられる構成にしている。1)自分のケータイ、スマホ、パソコンの使い方、付き合い方をふり返る。2)中高校生の実態を把握する。3)具体的なトラブル事例を掘り下げて考える。4)規約や約款、契約の意味を考える。5)学習のまとめとして、具体的な相談事例を相談員になったつもりで相談者にアドバイスする、というストーリー性を持たせたA5版の小冊子である。巻末にキーワード一覧を付けている。学習の一部を家庭学習にするなど短時間でも対応できる工夫を施している。 
  その他、本教材作成の際の留意点としては、1)カラー印刷で視覚に訴え,活字を最小限の量にしてイラストを多くする。2)デジタル教材として活用できるように配慮する。3)1,2時間の単発の授業にも対応できる。4)SNSを正しく安全に使って社会参加できるような事例も取り上げる、などである。

 【教材の活用と今後の課題】
   本教材は中高校生を対象としたものであるが、中学生の発達段階に適しているか、試行して学習効果を検討する必要がある。学習者の発達段階にあわせて、相談事例やトラブル事例を変えるなどの工夫も検討したい。
 発展的な学習としては、本冊子で習得したことをふまえ、身の回りで起こっている具体的な消費者問題と向き合い、その解決方法を各自がレポートにまとめることを想定している。
 スマホ、インターネットなど通信サービスの契約を巡るトラブルも増えてきている。本学習から自分が契約している通信サービスや無意識に契約している生活全般のサービスを見直す学習などにもつなげることも可能である。つまり本冊子は、子どもたちの身近な「便利な道具」「消費文化」を切り口に、生活時間や消費のあり方、契約など、従来の家庭科で扱ってきた学習内容に沿った教材として活用することができる。
 今後は、教員用の指導手引きなども加え、デジタル教材に発展させる予定である。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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