日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P27
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第57回大会:ポスター発表
振り返り「カルタ」にみる家庭科学習の定着度
*石川 芳惠
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抄録
 1. 研究目的 
 平成25年度の小学校家庭科教育に関する全国調査(「全国調査のまとめ」№50全国家庭科教育研究会)によると小学校で家庭科を指導する教員の家庭科指導上の課題として最も多く挙げられているのは指導時間の確保である。児童の学習の定着を図るためには,指導時数の確保は言うまでもない。限られた時数の中で児童の実践力を育てるためには,児童の学習状況の定着度を把握して授業を工夫する必要があると考える。 本研究では,6年生の3月に小学校での家庭科学習振り返り,学習内容をカルタに表させて,それを分析することで学習の理解や定着度を把握し,今後の指導のあり方を検討することを目的とする。カルタで授業の定着度を把握することは,これまでに「学校給食と教科指導を連携させた『地産地消』の授業研究」(日本消費者教育学会誌第32冊2012年)で行い,その有効性を実証している。
 2研究方法
 A小学校6年生の児童を対象に,小学校における2年間の家庭科で学習した内容を新5年生に紹介することを目的としてカルタを作成させた。そのカルタの家庭科学習の内容を示すキーワードを学習指導要領の内容A~Dで分類して量的内容を調査する。さらに,キーワードの内容を関心意欲態度,創意工夫,技能,知識理解の評価項目で分類して,家庭科の学習効果を検討し,今後の家庭科授業のあり方を示していく。
 3.結果及び考察
(1)カルタのキーワード分析 児童のカルタの文言のキーワードを学習指導要領の内容A~Dを分類すると,B「日常の食事と調理の基礎」C「快適な衣服と住まい」が多く見受けられた。その中でも,Bでは調理に関するもの,Cではエプロンやナップサックのミシンでの製作が多かった。実習を行ったものが多かった。これは,実習を含む学習内容が児童にとって学習効果を高めるものであることが言える。特にミシンの実習は,調理実習や修学旅行,遠足で実際に使うことを目的とした製作であったことが理由であると考える。また,指導時数でも実習や製作に実際にかける時数が多くなった結果でもあると考える。製作は児童により製作時間が異なる。指導計画作成の際に考慮する必要がある。 A「家庭生活と家族」では,「お茶を入れる」「家族と団らん」など<家族との団らん>を表すキーワードが見受けられた。生活時間を見直し,家族と団らんするためにおやつ作りの実習を行った効果が表れている。C「身近な消費生活と環境」では,<環境に配慮した生活の工夫>の内容が多く見受けられた。<物や金銭の使い方>の記述はわずかであった。 各内容を評価の観点で分類していくと,Bの調理で関心意欲態度を示すものが多かった。ごはんとみそ汁やおかず作りで家庭実践を行っている記述が多くあり,学校での家庭科学習が日常生活に生かされていることがわかった。また,BとCの内容の技能では,「安全」に目を向けたものが見受けられた。
(2)今後の指導のあり方 実習を伴う学習に多くの記述が見られた。技能の習得に時間をかけると他の内容の指導時数が少なくなる。児童の実態に応じた指導計画の工夫を行う必要がある。また,D「身近な消費生活と環境」は,消費者教育推進法が施行された今,持続可能な社会の実現をめざした消費者市民教育の視点で授業の充実を図っていくことが課題として考えられる。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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