日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P28
会議情報

第57回大会:ポスター発表
小学校家庭科における活用力の具体化に係る実践的検討
児童の交流・相互評価を通した課題の振り返り
*渡瀬 典子長澤 由喜子
著者情報
キーワード: 活用力, 振り返り, 小学校
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】先の報告では,学習指導要領の次期改訂における活用力の具体化を想定し,家庭科における「思考力・判断力・表現力等の活用する力」の育成について,小学校の住生活分野の授業実践分析が試みられた。ここでは,「日光や風などの自然の力をいかに活かして住まい方を工夫できるか」を児童の活用力を見る視点とし分析した。その結果,「基礎基本のチェックシート」だけでは活用力への発展を読み取れないこと,家庭科における「思考力・判断力・表現力」等の活用する力を見取るためには「課題解決的な要素として何を対象としているか」,「解決策をどうデザインしているか」を,生活を見通した形で再構成し,表現できることだといえる。そこで本報告は,題材のまとめ時(冬季・暖かく住まう)の児童の学習シートに記載された児童の相互交流・アドバイスの内容,その結果を受けたまとめから「ダンボールルームの計画」における改善の視点(対象・解決策のデザイン)を分析し,活用力育成の課題を検討する。【方法】先の報告で分析対象とした岩手大学教育学部附属小学校6年生36名(男子19名,女子17名)による学習シートの①児童同士の交流・アドバイス・相互評価,②まとめの内容,の記述を取り上げる。「児童同士の交流」では,3人1組となってそれぞれの児童の「暖かく住まう・着る工夫」のプレゼンテーションへのコメントとともに,教師が設定した5つのチェックポイントによる評価が記載されている。なお,これらは,当該題材の最後(8時間目)に書かれたものである(2013年12月)。【結果および考察】「課題解決的な要素として何を対象としているか」について,教師が授業の中で設定した5つのチェックポイント(①部屋全体が本当に暖かくなっているか,②省エネルギーにつながっているか,③暖かい着方が工夫されているか,④説明や提案に疑問がないか,⑤自分に取り入れたい・住んでみたいか)をもとに,児童のコメント・アドバイス,(その内容を受けた)「まとめ」について見ていく。児童のコメント・アドバイスは③の「着方」に言及したものが最も多く,次いで①と②に関する内容だった。しかし,このコメントを受けた「まとめ」に現れる改善策(「解決策のデザイン」)を見ると,「③着方」に関する改善の言及は多くなく,「①部屋全体を暖めること」「②省エネルギーにつながっているか」の内容が多かった。この結果から,自分のプランの改善点として,「着方」よりも住空間を暖めることに改善の視点が向いていたことが読み取れる。 「①部屋全体が本当に暖かくなっているか」に関する児童のコメントの内容を見ると,「空気の動き」,「窓の位置」,「日光のはたらき」について書かれており,「空気の動き」に関するコメント・アドバイスは,全体の3割近くが言及できていた。しかし,先の報告にあったように,「ダンボールルームの空間を暖める」ことに視点が集中し,暖房器具を使用する際に考慮すべき「汚れた空気の換気・排気」,「生活行為に見合う適切な温度設定(過暖房の問題)」についてはあまり多くの言及が見られなかった。「ダンボールルーム」という仮想空間ではあるが,「生活行為を支える快適かつ環境に配慮した」空間づくり・着方を含めたライフスタイルのあり方へと展開するために,様々な人々の暮らし方を知り,選択することで「丁度よい暖かさ・涼しさ」へと解決策のデザインの幅を広げられると推察される。児童の相互評価点の状況を見ると,プランの改善案を対象児童に多く述べている場合でもほとんどの児童が「満点」をつけていた。相互評価点の扱い,チェックポイントの内容について「活用力」の育成に発展させるため,さらなる検証を試みたい。
著者関連情報
© 2014 日本家庭科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top