日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P31
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第57回大会:ポスター発表
既婚男性の「家族・家庭生活」に対する家庭科教育効果の認識
-履修タイプによる比較-
*黒川 衣代高橋 桂子倉元 綾子
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抄録
【目的】
 家庭科教育は,男子については小学校のみ履修が長らく続いたが,その後の学習指導要領改訂により,中学校では1981年に男女相互乗り入れが,高等学校においては1994年から男女共学必修が始まった。すなわち,高校まで家庭科を学んだ男女共修第一世代の男性は,現在,30歳代半ばを迎えていることになる。結婚して家庭を築いていれば,その多くが子育て世帯であろうと考えられる。共働き世帯数が総世帯数の過半数を占める現在,男女共修における家族や家庭生活に関する学びを,既婚男性はどのように認識しているのであろうか。
 本研究では,幅広い年齢の既婚男性を対象に,家庭科授業の評価と家庭科教育効果の認識について,家庭科の履修状況別のグループ比較をし,家庭科教育の有効性を調べることを目的とした。
【方法】
 日本労働組合総連合会の新潟,兵庫,徳島,鹿児島の各連合を通じて,既婚男性の組合員の方々にアンケートの協力をお願いした。調査実施時期は2012年12月~2013年1月で,4つの連合を合計して7,100票を配布,3,918票を回収した(回収率55.2%)。
 調査内容の「家庭科授業の評価」は,家庭科が「好きだったか」,「楽しかったか」の2項目を4件法で尋ねた。「家庭科教育効果の認識」は,家族や家庭生活に関する8項目について,家庭科の授業を通して理解が深まったり,以前より考えたりするようになったか,各項目の評価を4件法で尋ねた(質問例は,「家庭科の授業を通して,男女平等意識が高まった」)。また,8項目で「家庭科教育効果」尺度とした(平均値= 16.7,SD = 5.0,α= .934)。
 家庭科の履修状況によるタイプ分けは,小・中・高校での履修を「はい」「いいえ」で尋ね,「小学校のみ」「小・中」「小・中・高」の3タイプとした。
 分析は,欠損値等のない3,598票を対象にした。家庭科が「好きだったか」,「楽しかったか」,「家庭科教育効果」の相関分析,および家庭科が「好きだったか」,「楽しかったか」,「家庭科教育効果」,「家庭科教育効果の8項目」に関して,「小学校のみ」「小・中」「小・中・高」の3グループ間で比較(一元配置の分散分析とTukey法による多重比較)を行った。
 サンプルの平均年齢は41.5歳(SD = 8.7),6歳以下の子どもを持つ割合は46.2%であった。
【結果および考察】
(1)履修状況 「小学校のみ」は1,265人(33.7%),「小・中」は1,718人(45.8%),「小・中・高」は615人(16.4%)であった。
(2)相関分析 家庭科が「好きだったか」,「楽しかったか」,「家庭科教育効果」それぞれの2変数間の相関は,全ての関係において0.1%水準で有意であった(「好き」×「楽しい」:r = .918,「家庭科教育効果」×「好き」「楽しい」:それぞれr = .381,r = .392)。
(3)分散分析 一元配置の分散分析を行った全てにおいて,分析モデルは有意であった。多重比較の結果,「好きだったか」,「楽しかったか」,「家庭科教育効果」の全てにおいて「小学校のみ」「小・中」「小・中・高」の3グループ間に有意差が認められた。各グループの平均値から,履修機会が多い方が,家庭科が好きで楽しかったこと,また,家庭科教育の効果を高く認識していることが分かった。「家庭科教育効果の8項目」の項目ごとの分散分析においても同様の結果が得られた。
 以上の結果より,履修タイプによる家庭科教育効果の認識に違いが認められ,履修機会の多さが家庭科教育の有効性を高めると推察できた。今後,男女共修世代既婚男性の家庭科教育効果の認識が,現実の生活において,どのような行動に結びついているのか,どのように生かされているのか,さらなる調査が必要である。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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