日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P32
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第57回大会:ポスター発表
家庭科教員の専門性の発達
*小林 陽子
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抄録
【目的】 これからの教員は、「教職生活全体を通じて、実践的指導力等を高めるとともに、社会の急速な進展の中で、知識・技能の耐えざる刷新が必要であることから、教員が探求力を持ち、学び続ける存在であること」が求められている(中央教育審議会 2013)。しかし家庭科は、各学校に一人ないしゼロ(非常勤講師)という対応を強いられ、一人職場の家庭科教員が少なくない。一学校に複数の教員がいる教科であれば、同一教科内での相談や討論もでき、実践的指導力や知識・技能の深まりが得られやすいだろうが、家庭科はそれがしにくい状況にあると考える。そこで本研究は、こうした現状を改善するために、家庭科教員の能力について家庭科教員自身の自己能力査定および専門的職業能力の発達をサポートする環境としての研修や職場内指導体制についての実態を明らかにし、今後の家庭科教員養成のあり方や研修制度を検討することを目的とする。
【方法】 対象者は群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県内の976校の中学校に勤務する家庭科教員である。調査内容は、柴静子氏による家庭科教師に求められる能力より18項目を抽出し(2005)、自己評価と今後伸ばしたい能力の視点からそれぞれ4件法で回答を求めた。また、研修制度や同僚との関係性等に関する環境について8項目を作成し2件法で回答を求め、どのような研修を必要としているのか自由記述で回答を求めた。調査期間は2014年2月から1ヶ月とし、郵送法で行った。有効回答数は183票であった(回収率18.8%)。
【結果】本調査対象者は、女性95.1%、男性4.4%であり、年齢は20代14.2%、30代15.8%、40代27.9%、50代38.3%、60代3.8%であった。  
  本年度、家庭科教育に関する公費による研修参加者は55.2%、私費による参加者は21.9%であった。本務校の同僚から家庭科の授業に関する指導や助言がある者は34.4%であった。一方、本務校以外の同僚から上記のような指導助言がある者は64.5%であった。自分のモデルになる家庭科教員がいる者は74.0%であった。  
  家庭科教師に求められる能力18項目中、もっとも自己評価が「やや不十分」「不十分」であった項目は、「本字や題材の学習目標を明確にすることを意識する」(82.0%)、「学習者とのコミュニケーションを深めて、学習の土台となる人間関係をつくる」(77.6%)、「学習を効果的にすすめるための印刷教材、実物、ビデオ等を開発する」(62.9%)であった。  
他方、家庭科教師に求められる能力18項目中、今後「伸ばしたい」「やや伸ばしたい」能力ととらえられている項目は、「学習者とのコミュニケーションを深めて、学習の土台となる人間関係をつくる」(92.9%)、「学習を効果的にすすめるための印刷教材、実物、ビデオ等を開発する」(91.3%)、「学習が停滞しているときに、フィードバックが適切にできる」(91.2%)であった。  以上より、家庭科教員は授業実践に関する事項を自ら不十分であると評価し、同時に今後伸ばしたい能力であると考えていることがわかった。
【引用文献】 中央教育審議会教員の資質能力向上特別部会(2013)「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(審議のまとめ) 
柴静子(2005)「第15章 家庭科教師にはどのような能力が必要だろうか」多々納道子・福田公子編『教育実践力をつける家庭科教育法』大学教育出版
【付記】本研究は科学研究費補助金(25381233)の交付を受けて行った。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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