日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: 2-4
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2014例会:口頭発表
調理の生活実践を促すための要因分析
女子大学生の調理学実習及びアンケート調査に基づく考察
*田中 由美子
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抄録
【背景と目的】
生涯を通じて健康を維持するためには、健全な食生活と、それの基になる調理実践力が必要である。しかし現代社会においては食生活の外部化が著しく、外食・中食が急増し、逆に内食が減少傾向にある。この傾向は、食材の安全性の不安、栄養バランスの偏り、生活習慣病の誘発、味覚の鈍化等、種々の点において懸念される。そこで筆者は、これまでに女子大学生に対する調理学実習を通して、調理の生活実践を促すための要因分析、及びその取扱い内容を検討してきた。今回はこれまでの結果を踏まえつつ、さらに視野を広げるため、他の意識調査からも問題点を抽出し、その中で挙がった問題2点(「食の安全・健康志向者、非志向者の2極化」「意識と行動の乖離」)に注目し、これをもとに実習内容、要因の再考を行った。具体的には、調理学実習の取扱い内容拡大のため、お弁当に多用される冷凍食品を手作りする「自家製冷凍お弁当おかず作り」の実践による教育効果の検証、及び調理の生活実践を促す要因の精査を本研究の目的とした。
【方法】
1.食料消費、冷凍食品、お弁当に関する意識調査の検索、問題点の抽出 
2.Y女子大学「調理学実習Ⅰ」履修3年生の昼食及び冷凍食品に関する実態・意識調査 
3.調理学実習Ⅰにおける「自家製冷凍お弁当おかず作り」の調理実践及び調理・試食前後の意識調査
4.「自家製冷凍お弁当おかず作り」の感想(自由記述)の集約
【結果】
1.食料消費、冷凍食品、お弁当に関する意識調査を検索し、問題の抽出を行った結果、家庭での調理実  践が行われにくくなっているものの、食に対する関心・意識の低下が著しいわけではなく、「食の安全・健康志向者、非志向者の2極化」もしくは同一人物における「意識と行動の乖離」があることが推察された。
2.Y女子大学「調理学実習Ⅰ」履修3年生の昼食及び冷凍食品に関する実態・意識調査の結果の概要は下記のとおりである。1)お弁当持参者のうち、冷凍食品を「ほぼ毎回利用」「かなり利用する」を合わせると約53%であり、利用率の高さが窺えた。2)市販の冷凍食品に対するイメージ10項目を5段階評価(SD法)した結果、簡便性、外観、味にプラスイメージを持ち、健康、安全性、価格にマイナスイメージを持っていた。品質、積極的活用に関しては約半数が「どちらともいえない」と回答した。3)食の安全・健康志向か否かが調理実践に及ぼす影響を探るため、食の優先順位のクラスター分析を行った結果、4型に分かれた。安全・健康志向型は「外食・中食の栄養の偏り」「食品添加物の危険性」の学びが調理実践に影響を及ぼすとの考えに有意差が見られた。
3.調理学実習における「自家製冷凍お弁当おかず作り」の調理・試食前後の意識調査の結果、全項目において前後の意識に有意差が見られた。「冷凍食品は作れない」「弁当作りは大変、作りたくない」との気持ちが薄れ、「冷凍おかずを考え、工夫するのは面白そう」「いろいろ挑戦したい」との意欲向上が見られ、本実践の教育効果の可能性が示唆された。
4.「自家製冷凍お弁当おかず作り」の自由記述の感想を集約した結果「負のイメージの払拭」「楽しさの体験」「他者とのかかわりの楽しさ、他者からの学び」「気づき・理解」「成功体験からの自信」「実践への意欲」の6つが挙がった。筆者前報の要因との一致が見られ、生活実践を促すためにはこれらの要因が重要であると考えられる。加えて家庭で再現する「レシピ」も必要である。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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